こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真はロベリアです。
「アズーロ」という商品名で売っていたもの。
アズーロというのはイタリア語で「青色」とか「空色」という意味らしいです。
まさにそのもの、というネーミングですね。
今日は「任意後見」の制度についてのお話です。
「任意後見」は「法定後見」と対になっている概念です。
「法定後見」とは、ざっくりと言うと「判断能力が低下した場合に後見人をつけてもらう」ことができる制度です。
「誰が後見人になるか」を決めるのは家庭裁判所です。
これに対して「任意後見」は、「判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ後見人を決めておく」ことができる制度です。
「誰が後見人になるか」を決めるのはご本人です。
もう少し正確に言うと、ご本人と後見人になる予定の人とが話し合って、いろいろと決めておく、という形を取ります。
つまり「任意後見契約」という「契約」なのです。
任意後見のよいところは、何といっても「自分が信頼できる人に、あらかじめ頼んでおける」ということ。
不安な点は、「お願いする時点では信頼できると思った人でも、いざ自分の判断能力が低下した時に、本当にちゃんとやってくれるかどうか・・・」ということでしょう。
そこで、任意後見の制度では「任意後見監督人」というものが登場します。
ご本人の判断能力が低下して、後見人の予定者が実際に「後見人」になる際には、家庭裁判所が必ず「任意後見監督人」を選任する、という仕組みになっています。
この「任意後見監督人」の任務は、まさに「後見人を監督する」こと。
後見人がきちんと役目を果たしているかどうかをモニターして、家庭裁判所に定期的に報告をします。
この任意後見監督人、いったいどんな人が選任されるかというと・・・
たとえば私、です。
私のようにリーガルサポートに所属している司法書士などが、家庭裁判所からの要請で監督人になるのです。
任意後見の制度について、少しでもイメージしていただけましたでしょうか。
では、続けましょう。
後見人になってもらうのはどんな人か、というと、例えば息子や娘、といったことが考えられます。
お子さんのいない方であれば、日頃から親しくしている甥や姪にお願いしておく、ということも考えられるでしょう。
専門職、という選択肢もあります。
信頼できる司法書士にお願いしておく、とか。
ちなみに、私は任意後見人になることはお引き受けしていません。
何故かというと・・・
「片岡先生、私が認知症になったら後見人になってくれませんか?」
「う~ん、それはお引き受けできないんです。」
「なぜですか? 頼りになりそうなんだけど。」
「Aさん、今70才ですよね。」
「そう。まだまだ大丈夫だと思うんだけど、備えはしておかなくっちゃ、と思って。」
「そう、まだまだ大丈夫。実際に判断能力が低下するのは20年後とか。」
「20年後かあ・・・。90才になったら本当に後見人が必要かも。」
「20年後、私は76才です。」
「あ、そうか・・・」
「Aさん、76才のおばあちゃんに後見人を頼みたいと思いますか?」
「・・・ですよね。」
・・・というワケです。
そうなんです。
20年後、私は76才。
どんな状況になってるんだろう・・・
病気で入院してて、少々判断力が落ちてて、費用の支払いがうまくできず、途方に暮れてしまい、
・・・なんてこともあり得るなあ。
子供たちが何とかしようと私の通帳と印鑑を持って銀行に行っても、
「ご本人でないと手続できません」
なんて言われて追い返されて、
・・・なんてこともあり得るなあ。
私も「任意後見」について考えておいた方がいいかも。
子供たちは引き受けてくれるかなあ・・・
今から少しずつ話を始めた方がいいかも。
・・・・・。
自分は任意後見監督人を引き受けたりして、この制度に関わっている専門職なのだ、と思っていたけれど、実は、この制度の利用を検討する「本人」にもなり得る立場だったのですねえ・・・。
これからは、任意後見制度について、「本人」の側からも、いろいろと勉強してみよう、と思います。
☆こちらの記事も読んでみてね☆