遺言は万能ではない。⑤遺言と異なる内容の遺産分割

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

3月に入って暖かい日も増えてきましたね。

我が家のベランダではマーガレットが咲き始めました。

春はすぐそこ♪

 

さて、今日は遺言のお話。

以前、ある方が「オレに背いたヤツには財産は残さんぞ!」と怒っているのを聞いてビックリしたことがあります。

たぶん、まとまった資産をお持ちの方なのでしょう。

子供たちを自分に従わせるために放った発言のようでした。

こういうことが可能なのかと言えば、それは可能です。

あ、「子供を自分に従わせることが可能」という意味ではありません。

「自分の気に入った相手にだけ財産を残す」ことです。

もちろん遺言で、です。

自分の財産なのですから、誰に何をどれだけ相続させるかは、ご本人が決めればよいことです。

例えば・・・

息子が3人いたとして、二男だけがどうも自分の言うことを聞かない。

進学先も、仕事も、結婚相手も、親の反対を押し切って自分の意志を貫いてしまった。

父親はそれがオモシロくない。

母親が生きているうちは、それでも交流はあったが、母親の死後は二男は全く実家に寄りつかなくなってしまった。

父親の怒りはどんどん増幅されていきます。

そして「遺産は長男と三男で半分に分けるように」という趣旨の遺言を作成するに至ります。

何だか「制裁的遺言」みたいですねえ。

でも、こういうことをしちゃダメ、なんてことはありません。

自分の財産ですから、自由なのです。

父親は公正証書で遺言を作成、長男を遺言執行者に指定し、長男に遺言書を預けます。

そして「絶対に遺言のとおりにするんだぞ。二男にはビタ一文も渡してはならない、いいな。」と命じました。

時が経って父親が亡くなり、遺言書を預かっていた長男は悩みます。

正直なところ、自分は父の考え方に賛同はしていなかった。

自分はたまたま、結果的に、父の意に反する人生とはならなかっただけのこと。

自らの意志を貫いた弟のことを悪くは思っていない。

遺言の内容は不公平だと思う。

何とかならないか・・・。

いろいろと調べた結果、相続人には「遺留分」という権利があると知ります。

この権利を使えば、弟は遺産の6分の1を手にすることができるのだとわかりました。

よし、弟に遺留分の主張をするよう勧めてみよう、と考えた長男は下の弟(三男)に相談します。

すると三男の返事は意外なものでした。

「何だ、そんなことか。そんなの遺言を無視しちゃえばいいんだよ。」

長男は仰天してしまいます。

「いやまさか、そんなことが許されるのか?」

三男の説明によると・・・

・相続人全員の同意があれば、遺言と異なる遺産分割協議をすることも可能

・遺言執行者がいる場合には相続人の勝手は許されないが、遺言執行者の同意があればOK

・自分たちの場合、遺言執行者自身が相続人なのだから問題は起きない

だから、「無視」はヒドイ言い方かもしれないが、遺言は遺言として親父の気持ちとして受け取った上で、遺産は3人で等分に分けることにしよう、というのです。

長男は驚きつつも、知り合いの弁護士に確認してみたところ、そのとおりである、遺言と異なる遺産分割協議をしてもかまわない、との答え。

そこで長男と三男が二男に事情を説明して、最終的に遺産はそれぞれ3分の1ずつ取得することにしたのでした。

・・・以上は私が作った事例で、実際にあった案件そのものではありません。

でも、こんな展開になることもあり得るのです。

遺言に現われたご本人の意思は尊重されるのが基本だけれど、相続人全員の総意に反してまで尊重されるものではない、ってことなのです。

遺言は万能ではないってこと。

なるほど、と思っていただけましたら幸いです。

 

 

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