こんにちは。司法書士の片岡和子です。
東京の桜は、あっという間に咲いて、あっという間に散ってしまいましたね。
さて、今日の話題は「任意後見」です。
自分の判断能力が衰えた場合に備えて、将来後見人になってくれる人と契約をしておく、という制度です。
実際に後見人が必要な状態になったら、家庭裁判所で手続きをして、任意後見が開始します。
その際には必ず「任意後見監督人」が選任されます。
ご本人が信頼して契約した人であっても、絶対に悪いことはしない、とは言い切れないため、後見人を監督する「お目付け役」を配置するのです。
私は、複数の案件で、この任意後見監督人を引き受けています。
定期的に後見人と面談をして、財産の管理状況を確認します。
後見人からの相談ごとがあれば、その都度対応しますし、必要であれば、ご本人にお会いしに行くこともあります。
そうやって関わっていると、いろんなことが見えてきます。
後見人の方々は頑張ってるなあ、と思うことが多いです。
私が関わっている案件では、概ね「任意後見制度はうまく機能している」と言える状況です。
うまくいっている案件には共通点があるようです。
以下に挙げてみましょう。
・ご本人には子がおらず、甥っ子や姪っ子が後見人になっている。
・任意後見契約をする以前から仲がよく、何かと世話をやいていた。
・ケアマネさんなどの第三者から任意後見制度の利用を勧められた。
・任意後見人としての仕事に対価はなし、つまり無報酬である。
将来が不安だから任意後見制度を利用してみよう、と思い立ち、任意後見人になってくれる人を探す、という展開ではないのですね。
身近に信頼できる人がいる、という状態だったところへ、第三者からの情報で任意後見制度のことを知り、制度を利用することにした、ということ。
もともと存在していたサポートに法的根拠が与えられた、という状況なのですね。
任意後見人になったことで権限が明確になり、動きやすくなった、ということなのです。
他の親族たちから
「財産狙いなのでは?」
と疑われても、
「監督人がついてますから不正はできません」
と説明もできます。
(実際そのとおりです。不正はできません。)
家庭裁判所での手続きは、やや煩雑で、後見人の皆さんは
「こんなに大変だとは思いませんでした・・・。後見人にならなくても援助はできたんじゃないか、その方がよかったんじゃないか、と思います。」
などと仰います。
でも、それを補って余りある、と思います。
ご本人のためにも、援助者自身を守るためにも、事実上のサポートよりも、法的根拠のあるサポートの方がよいのです。
本当に皆さん頑張っておられます。
私も監督人として頑張ろう、と思います。
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★任意後見について考えてみたら、自分は本人の側だった、という話。