財産管理等委任契約とは

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

東急大井町線の尾山台と九品仏の中間地点あたりで開業してます。

 

一昨日のブログでは任意後見制度のことを書きました。

将来判断能力が低下してきた時に後見人になってくれる人を、あらかじめ契約によって決めておくことができる制度、ということでした。

昨日は見守り契約のことを書きました。

将来任意後見人になってもらう予定の人に定期的に訪問等をしてもらい、安否確認や後見の必要性の判断をしてもらう、という契約です。

任意後見契約と見守り契約をセットにして専門家と契約をしておくと、身近に頼れる人がいなくても安心できる、ということでした。

ところで、実は「任意後見契約と見守り契約ではカバーできない状況」というものが存在します。

それは、

判断能力は衰えておらずしっかりしているけれど、病気で入院してしまい、入院費の支払いをしてくれる人がいない、

とか

足腰が弱ってしまい、銀行へお金をおろしに行けない、

といった状況です。

この場合、判断能力はしっかりしているのですから、任意後見契約をしていたとしても、任意後見をスタートさせることはできません。

(任意後見制度は「判断能力の低下した場合」のための制度なので。)

もちろん見守り契約でも対応できません。

ご本人のかわりに銀行でお金をおろす、という代理権があるわけではないので。

そこで登場するのが財産管理等委任契約です。

通帳などを預けて日常の入出金の管理を継続的にやってもらう、

入院の際に入院費の支払いなどを行ってもらう、

といったことを契約で決めておくのです。

この財産管理等委任契約を、見守り契約と同時に締結しておきます。

そして、

・普段は定期的に面会をして見守りだけをしてもらう。

・急な病気やケガで身体の自由がきかなくなった際には財産管理等委任契約の効力を生じさせ、財産管理等を代理してもらう。

と取り決めておけばよいのです。

今すぐに代理人になってもらうわけじゃないけど、何かあった時はお願いね、という約束をしておくわけです。

具体的に何をやってもらうのか、

どの財産を預けるのか、

報酬はいくらにするのか、

などは、あらかじめきちんと契約の内容に盛り込んでおきます。

頼れるご家族がいる場合には当たり前のようにタダでやってもらえることに関して報酬を支払う、ということには抵抗があるかもしれませんが、逆に、「仕事」としてきちんとやってもらえる、という安心感があるのでは、という気もします。

ところで、この財産管理等委任契約には怖い側面もあります。

途中でご本人の判断能力が低下してしまった場合には、代理人の行動にチェックが入らなくなり、代理人が好き勝手をやり始めてしまう可能性があるのです。

そこで、実際には任意後見制度との併用が行われるのが普通です。

ご本人の判断能力が低下し始めたら、任意後見をスタートさせるのです。

任意後見がスタートすれば、「任意後見監督人」がチェックを入れてくれるようになります。

 

一昨日から3回にわたって

任意後見制度、見守り契約、財産管理等委任契約について簡単にお話しましたが、難しいことはともかく、この3つはセットになって威力を発揮するのだということ、ぜひ覚えておいてくださいね。

 

 

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2014年11月20日 | カテゴリー : 成年後見 | 投稿者 : Kazuko Kataoka