任意後見と見守り契約

DSC02652

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

東急大井町線の尾山台と九品仏の中間地点あたりで開業してます。

 

昨日の記事では任意後見制度についてご紹介しました。

簡単に言うと、将来自分の判断能力が低下したときに備えて、後見人になってくれる人をあらかじめ契約によって定めておける制度、ということでした。

後見人になってくれる予定の人は、実際にご本人の判断能力が低下し始めた時点で正式に後見人に就任して、財産管理などを行うことになります。

でも、ちょっと待ってください。

任意後見契約は、ご本人の判断能力がしっかりしている時期に締結します。

その後、認知症などで判断能力が低下し始めたことを、一体誰が把握するのでしょうか?

認知症になってしまったご本人が後見人予定者に対して

「私はどうも判断能力が落ち始めたみたいですから、後見人に就任してください」

などと連絡を入れる、なんてことは期待できませんよね。

そこで「見守り契約」が必要になるのです。

専門職である司法書士が任意後見契約をする場合には、「見守り契約」も締結するのが一般的です。

見守り契約とは、まさにその名のとおり、見守ることを内容とする契約です。

具体的には、

後見人予定者がご本人の自宅を月に一度訪問して面談する、

とか

月に一度電話で連絡して状況を確認、2か月に一度訪問面談、

といった内容の契約をするのです。

こうしておけば、ご本人の様子を定期的に把握することができて、後見人が必要な状態になったと判断すれば、後見人に就任する、ということが可能になるのですね。

実際には、任意後見契約と見守り契約を締結し、定期的に面談を続けていて、そのまま亡くなるまでずっと判断能力が落ちることはなく、結局後見人になることは必要なかった、という場合もあるわけです。

任意後見制度は「もしも」に備えるものなんですね。

その「もしも」の状態を見極めるために見守り契約が必要だということです。

この見守り契約、もちろん報酬は発生します。

訪問の頻度によって報酬額は変わってきます。

面談へ出向くための交通費などもご本人の負担となるのが普通です。

つまるところ、

「お金を払って定期的に様子を見に来てもらう」

ということなのですが、こういった契約が、今後、広く受け入れられるようになりますかどうか。

とても興味のあるところです。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★任意後見制度とは

★財産管理等委任契約とは

★任意後見制度は機能している、と感じます。

★任意後見受任者が必ず任意後見人になれるとは限らない。

★任意後見の限界と法定後見への移行

★任意後見について考えてみたら自分は本人の側だった、という話。

 

 

2014年11月19日 | カテゴリー : 成年後見 | 投稿者 : Kazuko Kataoka