こんにちは。司法書士の片岡和子です。
寒いですねえ。
でも、この寒さの中でも、植物たちの春に向けての準備は着々と進んでいるようです。
写真は事務所近くの道端で撮ったもの。
可愛らしいピンクの花が咲くんですよ。
ずっと名前がわからずにいたのですが、去年ようやく「アメリカフウロ」だと知りました。
花が咲くのは4月頃かな。
楽しみです♪
さて、今日の話題は遺言です。
「争族」を避けるためには遺言を! って最近よく聞きますよね。
本当にそのとおりです。
私も、日々の仕事の中で
「遺言を書いておいてくださっていればなあ・・・」
と思うことは多いです。
新聞でも雑誌でも、啓蒙的な記事を見かけることが多くなった気がします。
よいことだと思います。
ただ、あえて言わせてもらえれば、
「遺言さえ書いておけば大丈夫。」
と考えてしまうのはキケンです。
遺言があっても紛争になることはあります。
典型的なのは「全財産を○○に相続させる」という遺言。
納得できない相続人がいれば、「遺留分減殺請求」は必発です。
でも、このパターンの場合は
「たぶん請求されるだろう」
という予想ができますから、あらかじめ心づもりをしておくことができます。
困ってしまうのは、内容に極端な偏りがなくても紛争になってしまうケース。
根っこに
「書かされたんじゃないか?」
「誘導されたんじゃないか?」
といった疑問がある場合が多いように思います。
間違いなく親自身の意思であると確信できれば、多少自分に不利な内容でも、最終的には受け入れる人が多いと思います。
でも
「本当に親自身の意思だったのか?」
「認知症が始まっていたのではないか?」
と疑い始めると、どんどん疑心暗鬼になっていく。
「親に遺言を書かせたきょうだいが許せない!」
という気持ちが募ると、
「負けてもかまわない、裁判だ!」
というところまで行ってしまいます。
調停や訴訟を起こされれば対応するしかありません。
どんなに理不尽だと思っても、放置するわけにはいかないのです。
結果的に勝訴したとしても、費用も時間もかかり、心身は消耗してしまいます。
こういう不毛な争いを避ける方法はあるのでしょうか。
100パーセント大丈夫、という方法はないと思います。
ただ、こういった争いが生じる「根っこ」を考えてみれば、見えてくるものがあるように思います。
「遺言を書かせる」、「誘導する」といった行動を取らない。
これに尽きるでしょう。
でも・・・これらは「微妙」であることも多いのです。
「誘導した面もあるけれど、最終的には親自身の意思だった」
とか
「軽い認知症で少し判断力は落ちていたけれど、それほど複雑ではない遺言の内容は理解できていた」
といった具合です。
こういった「ビミョー」な状態の時に、自分に有利な遺言が作成された、という事情がある場合には、後日紛争が起きる可能性がある、と想定しておく必要があると思います。
【2020年4月8日追記】
民法が改正されて遺留分制度の枠組みが変わりました。
相続開始日によって「遺留分減殺請求」になる場合と「遺留分侵害額請求」になる場合があり、手続きの進め方が異なってきますのでご注意ください。
本日新しく記事を書きましたので、ぜひ参考になさってください。
↓↓↓
遺留分侵害額請求か遺留分減殺請求か? 相続開始日によって異なります。
☆こちらの記事も読んでみてね☆
★「そもそも」を考えてみよう。「親に遺言を書かせたいんです。」
★【遺言書保管制度】②内容をチェックしてもらえるワケじゃない。