遺言は万能ではない。③推定相続人の廃除

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

今年のヒヤシンスはピンク。

球根から植えたのではなくて、ここまで育ったのを先日買ってきました。

球根の植え付け時期は少々忙しかったのです。

最初の発芽から観察できなかったのは残念だけど、ここから先も十分楽しめます♪

 

さて、今日は「遺言による廃除」のお話。

「廃除」とは、手元の法律用語辞典によると、「被相続人に対する虐待その他の著しい非行を理由として、遺留分を有する推定相続人をその地位から除外すること」。

もう少しわかりやすく言うと、「ひどい行いをしたヤツを相続から外して、遺留分の主張もできないようにすること」。

例えば・・・

ギャンブルに狂った息子。

金が足りなくなると親のところへせびりに来る。

金は渡せない、と言うと怒り狂って暴言を浴びせる。

殴られたこともある。

ついには「早く死んでしまえ、そしたら財産はオレのものになるんだから」と言い放った。

自分が死んでも、この息子には一円たりとも渡したくない。

・・・なんていう場合。

「廃除」の制度を使えば、相続権を失わせることができます。

そんなことしなくても、遺言で「長男Aには何も相続させない」といったことを書いておけばよいのでは? と思われるかもしれません。

でも、息子には「遺留分」という権利があって、息子が遺留分を主張すれば、ある程度の遺産は渡さなければなりません。

でも「廃除」が認められれば、完全に相続権を失わせることができるのです。

「一円も渡さない」が実現できるのです。

実際にはどうするのかというと、家庭裁判所に「推定相続人廃除の申立て」を行います。

すると家庭裁判所は審理を行います。

家庭裁判所は廃除請求された息子から意見を聴取し・・・

いやいやいや、これはダメでしょ、使えないです。

息子は、親が自分を相続から外そうとしていると知ることになります。

どんなに荒れ狂うことか、想像しただけでもオソロシイですよね。

実際に廃除の手続きを使うことは、とてもハードルが高いのです。

で、遺言のお話です。

廃除の意思表示は遺言で行うことができるのです。

お、それはいいね、騒ぎは自分が死んでからになる、ってことだよね・・・

それはそうなのですが、注意が必要です。

このごろ、「遺言のすすめ」みたいな話がとても多くて、ネット上でも、週刊誌などでも本当によく見かけます。

遺言で何でも実現できる、遺言は万能! みたいな印象を与えないかなあ、と心配になってしまいます。

もちろん、「遺言でできること」をきちんと列挙しているものもあります。

①推定相続人の廃除とその取消し

②相続分の指定又は指定の委託

③特別受益者の相続分に関する指定

・・・みたいに。

でも、ここにも落とし穴があるのです。

①の「推定相続人の廃除とその取消し」を見てどう思われますか?

遺言書に「長男Aを相続人から廃除する」と書いておけば、それだけで廃除が実現するような気がしますよね。

でも、そうではないのです。

自分が生きている間に廃除の手続きをする場合と同じ流れになるのです。

家庭裁判所へ申立てをして審理してもらうのです。

でも自分は死んじゃってますから、代わりに「遺言執行者」が申立てを行うことになるのです。

ということは、遺言執行者を決めて、資料を渡して、廃除の手続きをお願いしておかなくちゃならない、ということ。

素人にできることではありませんから、弁護士さんにお願いしておく、ということになると思います。

もしもこの準備をせずに「長男Aを相続人から廃除する」と書いただけだと、どうなるか。

「遺言執行者の選任申立て」からスタートしなくちゃなりません。

遺言執行者が決まって、いざ廃除の申立て、となっても・・・

「長男Aには廃除に値するほどひどい行いがあった」ということを立証する十分な資料がなければ、廃除は認められないかもしれません。

簡単ではないのです。

もしも「遺言による廃除」を考えておられるのでしたら、弁護士さんと相談して、念入りな準備をしておく必要がある、ということなのです。

以上、参考になりましたら幸いです。

 

 

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