超入門⑧ 自力救済は違法です。

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

折り紙でくす玉作ってみました。

7.5センチ角の紙で折ったユニット30枚を組んであります。

なかなか楽しいです。

ハマりそう。

和柄の千代紙で作ってみたいなあ。

 

さて、今日は「自力救済」のお話です。

この言葉、お聞きになったことありますか?

字面から何となくわかる気がするけど・・・といったところでしょうか。

これ、法律用語です。

手元の法律用語辞典を引いてみます。

【自力救済】じりききゅうさい・じりょくきゅうさい

民法上、私人が司法手続きによらずに自己の権利を実現すること。自救行為ともいう。国家の権力が確立した今日では、原則的に違法とされる。

イメージしやすくするため、事例を挙げてみましょう。

 

Aはスーパーの駐輪場に自転車を止めて買い物をしたが、戻ってみると自転車が見当たらない。

数日後、Aは散歩中にB宅の庭先で自転車を発見した。

AはBを問い詰めようとしたが、留守であったためBに無断で自転車を持ち帰った。

 

このAの行為が「自力救済」です。

これは違法なのです。

「何でダメなの? だって自分の自転車でしょ?」

と思われる方もいらっしゃるでしょう。

でも、Bは自転車を盗んだのではなく、中古品を扱う店で買ったのかもしれません。

Aが勝手に持ち帰ったら、今度はBが取り返しに来てケンカになって怪我人が出てしまうかもしれません。

現代は未開社会ではありません。

法の秩序のもとで人々が暮らしているのです。

紛争の解決のためには国家が定めた法的手続きに則る必要があるのです。

自転車の例は、ちょっと教科書的だったかもしれません。

もう少し今日的でリアルな例で考えてみましょう。

 

Cは賃貸アパートを所有しています。

入居者Dが家賃の滞納を繰り返すことに腹を立てたCは、Dの留守中にDの部屋から荷物を運び出し、鍵を取り換えてしまいました。

 

このCの行動が自力救済です。

明け渡し訴訟・強制執行という法的手続きが用意されているのに、それを使わずに実力行使をしてしまった、ということです。

Cの行為は民法上「不法行為」となります。

違法なのです。

最近は、一般の方々にも

「賃借人の立場は法律で手厚く守られている」

という理解が広まっているようで、「モンスター入居者」とでも言うべき人々も出現して、大家さんの悩みは尽きないようです。

それでも、「自力救済の禁止」という原則は揺るぎません。

くれぐれも実力行使はなさいませんように。

 

 

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