こんにちは。司法書士の片岡和子です。
東急大井町線の線路沿いに可愛らしい花を発見。
「カタバミ」か「オッタチカタバミ」か、どちらかだと思うのだけど、よくわからない・・・。
毎年、この黄色い花が咲き始めると気分がウキウキします♪
さて、今日は法律用語解説の2回目。
「行為能力」を取り上げます。
法律用語がわかりにくい原因の一つに「日常語としての意味に引っ張られる」ということがあります。
この「行為能力」という法律用語が典型だと思います。
「行為」も「能力」も日常的に使われる言葉で、しかも「難しくない」。
だからこそ、理解のズレが生じて混乱が起きるのですね。
「契約などの法律行為の場面では行為能力の有無が問題となる。」という文を読んで、何を言っていると感じますか?
たぶん、「その契約の内容を理解して、契約を結ぶ能力が必要である」といった意味にとらえる方が多いと思います。
そして、その場合の「能力」は、「学力」だとか「知識」だとか「経験」といった意味で理解する方が殆どでしょう。
でも・・・法律用語の「行為能力」は、そういう意味ではないのです。
手元の法律用語事典にはこう書いてあります。
【行為能力】法律行為を単独で行うことができる法律上の資格。
???ですよねえ・・・。
もう少しわかりやすく言うと、「契約などの法律行為の世界に単独で参加できる資格」のことを言っているのです。
重要なのは「法律上の資格」だということ。
行為能力のあり・なしは法律で決められます。
そして、行為能力のあり・なしが問題になるのは「法律の世界」に限られる、ということ。
最もわかりやすい例は「未成年者」。
「未成年者がスマホの契約をする際には親の同意が必要」っていうやつ。
言い換えると「未成年者は法律行為を単独で行うことができない」ってことなのです。
未成年者の法律行為には「法定代理人(親など)の同意が必要」という制限がかかっています。
なので、未成年者のことを「制限行為能力者」と呼びます。
成人になると、この制限が外れます。
制限のない行為能力を手に入れて、単独法律行為デビュー! ってワケ。
そうそう、昨日(2022年4月1日)から成人年齢が18歳に引き下げられましたね。
法律行為の世界への参加資格が変更になって、デビューが早まった、ってことなのです。
もう一つ例を挙げておきましょう。
「成年被後見人」も「制限行為能力者」です。
民法第9条には次のように書いてあります。
「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」
重大な契約(家を売る、とか)の契約書にサインしてしまっても、取り消せることになっているのです。
取り消しは成年被後見人も行うことができますが、成年後見人が行うこともできます。
つまり、ご本人以外の力で契約がひっくり返ることがあるのです。
これは、法律行為の世界への「単独での参加資格」がない、ってことですよね。
行為能力に制限が加わっているのです。
ちなみに、「日用品の購入」などには制限がないことに注意が必要です。
「制限の行き過ぎ」にならないように、ということなのです。
いかがでしょう。
今日は「行為能力」のお話でした。
参考になりましたら幸いです。
☆こちらの記事も読んでみてね☆
★勝手に深読み【民法13条第1項10号】被補助人=制限行為能力者ではない。