スムーズな相続のために③ 相続人確定の作業は意外なほど大変。

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

写真はヒヤシンスです。

植えつけ以来、ずっと戸外に置いていたのだけど、花芽が出て来たので、室内に入れてみました。

近くへ寄ると、すでに甘い香りがしてます。

ここから、どんなふうに成長するのかな。

楽しみです。

 

さて、今日も相続のお話です。

遺産分けをするにしても、相続税の申告をするにしても、まずは「相続人の確定」が必要です。

「亡くなった方の相続人は誰か」を調べ上げて

「相続人全員をあぶり出す」という作業が必要になるのです。

これは、なかなかピンと来ない方も多いようです。

調べ上げるとか、あぶり出すって、ウチの家族は妻である私と子供がふたり、そんなことアタリマエで、明らかなことなんだけど・・・というワケです。

これが案外アタリマエでないことがあるのです。

調べてみたら、実は亡くなった夫には結婚・離婚歴があって、前妻との間に子供がいて・・・なんてことがあるのです。

「前妻との間の子供」は立派な相続人です。

遺産分けの話し合いは、この「新たに発見された相続人」も含めて相続人全員で行わなければなりません。

まさか、そんなことがあああ~~~

・・・結構あることなのです。

で、「調べ上げる」とか「あぶり出す」って、具体的にはどうするのかというと、亡くなった方の戸籍を調べるのです。

あ、なるほど。

役所へ行って戸籍謄本を取って来ればいいのね、・・・と思われるかもしれませんが、実は、そう簡単なことではないのです。

戸籍は、様々な理由で作り変えられます。

転籍をすると、新しい本籍地に新しい戸籍が作られます。

コンピューター化がされると、新しい形式の戸籍が作られます。

その他、いろいろな理由で新しい戸籍が作成されます。

その際、古い戸籍の全ての情報が新しい戸籍に移されるのではありません。

「基本情報」といえる情報のみが移されるのです。

ですから、亡くなった方の最後の戸籍を取ってみても、その方の全ての情報が判明するわけではないのです。

過去の結婚・離婚の情報などは、戸籍から消えてしまっていることもあるのです。

(だからこそ、離婚歴を隠して再婚することもできてしまうのですね。)

なので、亡くなった方の相続人をあぶり出すためには、古い戸籍も全部取得して、内容を調べ上げなくてはなりません。

これが結構タイヘンなのです。

役所の窓口で

「相続に必要なので古い戸籍も全部ください」

と申し出れば、よほど不親切な担当者に当たらない限り対応してくれます。

でも、その役所で全てが揃わないこともあります。

転籍をしている場合などは、

「これより古いものはこちらにはないんですよ。〇○県〇○市に請求してくださいね。」なんていうことになります。

もちろん〇○市まで出向く必要はなくて、郵送で請求ができます。

でも、申請書はどうやって書くの?とか

手数料はどうやって払うの?とか

疑問が次々と湧いてきて、結構ストレスになります。

うまく郵送請求できたとしても、無事に戸籍が手元に届くまでには日数がかかります。

なんやかんやで必要な戸籍が全部揃う頃には疲れ切ってしまって、

もういやだあああ~~~

なんてことになりがちです。

でも、この過程を省略することはできません。

結果的に

「やっぱり相続人は妻である私と子供たちだけだった」

ということになったにしても、それはこの作業を済ませたからこそ言えること、なのです。

で、この大変な作業を楽に乗り切るためには? なのですが、

「相続人の確定は案外大変な作業になることもある」

ということを、あらかじめ知っておくことだと思います。

甘いイメージを持っていると、実際の面倒くささとのギャップで疲れてしまいます。

ある程度の覚悟があれば、少々大変でも、

「こんなものだよね。仕方がないよね。」

と思えるでしょう。

この記事を読んでくださった皆さんは、既に「相続人の確定作業は意外なほど大変」だとご存知です。

だから大丈夫。頑張って乗り切ってください!

・・・というワケで今日はこれにて。

 

 

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2018年2月8日 | カテゴリー : 相続・遺言 | 投稿者 : Kazuko Kataoka