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今日は戸籍のお話です。
戸籍は市区町村単位で管理されています。
逆に言えば、全国の市区町村のどこかに自分の戸籍がある、ということです。
この、戸籍のある場所のことを「本籍地」といいます。
実際に住んでいるところに戸籍があるとは限らず、遠方の市区町村が本籍地であることもあります。
私の場合、生まれてから結婚するまでの本籍地はずっと愛媛県八幡浜市でした。
いちども住んだことのない場所です。
なぜそうなっていたかというと、両親が結婚した際に父の実家の所在地を本籍地と定めたから。
実は、結婚して新しく戸籍を作る際には、どこを本籍地にしてもよいのです。
でも、私の両親が結婚した昭和30年代は、まだまだ「嫁入り」だとか「入籍」感覚が強くて、夫の実家の所在地を本籍地にすることが多かったのではないかと思います。
結婚して新しく戸籍を作る際に本籍地をどこにするかが自由なのと同様、いったん定めた本籍地を他の市区町村に移すことも自由です。
これを転籍といいます。
(同じ市区町村内での転籍もあるのですが、今日は他の市区町村への転籍のお話です。)
転籍届を出すと、新しい本籍地で戸籍が作られ、もとの本籍地にある転籍前の戸籍は除籍されます。
実は、新しい本籍地で作られる戸籍は、転籍前の戸籍と全く同じものではありません。
戸籍に載っている人の「基本情報」に加えて「現在有効な情報」に基づいて、新しい戸籍が作られるのです。
「基本情報」とは、出生に関する事項などのこと。
「現在有効な情報」とは、たとえば「現在続いている結婚の情報」などのこと。
・・・ということは?
「過去の結婚の情報」つまり「離婚歴」は?
そう、転籍によって作られた新しい戸籍には過去の結婚の情報は記載されません。
例えば、甲山秋男さんが丙川春子さんと結婚して、甲山秋男さんを筆頭者とする新しい戸籍が出来た後に二人が離婚した場合、春子さんはこの戸籍から除籍されます。
でも、この「除籍」というのは、実際に春子さんの名前が消されるのではなく、春子さんの名前は残ったまま、「除籍」という記載がされるのです。
ですから、甲山秋男さんの戸籍を見れば、丙川春子さんと結婚して離婚したことは、一目でわかります。
ところが、離婚後甲山秋男さんが、他の市区町村に本籍地を移す、つまり転籍をすると、新しく作られる戸籍には、春子さんと結婚して離婚したことは記載されないのです。
つまり、「離婚歴が消えた」という状態になるのです。
それじゃ、離婚歴を消したいなら転籍すればいいんですね!
という声が聞こえてきそうですが、戸籍から完全に消せる、というワケではないのです。
転籍前の戸籍はきちんと保管されています。
普段は目にすることはありませんが、転籍前の戸籍が必要になった場合には謄本を取得することができます。
つまり、完全に離婚歴を隠すことはできないのです。
ただ、現在の戸籍からは離婚歴がわからない状態にはなるので、離婚後の気分を一新したいというのであれば、引っ越しをした際にでも転籍をして、戸籍の見た目をサッパリさせるのもアリかもしれませんね。
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