こんにちは。司法書士の片岡和子です。
事務所玄関の手拭い飾りは可愛いわんちゃんたちです。
それぞれに楽しげで、見てるとほっこりします。
戌年がスタートしてもう2週間になりますね。
皆さま、お仕事のスタートはいかがでしょう。
私は順調な滑り出しです。
昨年はあまりブログが書けなかったのですが、今年は、もうちょっと頑張ってみようと思ってます。
今年は、相続について、できるだけたくさん書いていきたいと思ってます。
これまでに書いたものの内訳を見ると、相続分野の記事が少なめだなあ、と思って。
相続について解説する書籍は巷にあふれているし、ネットで検索すれば情報はいくらでも手に入ります。
でも、書籍は難しすぎる場合も多いし、ネットの情報には不正確なものも含まれています。
ブログだからこその、「なるほど!」と思ってもらえるものを書きたいなあ、と考えてます。
さて。
「相続」という言葉から「親の遺産を分けること」を真っ先に連想する方は多いようです。
「相続でモメると大変らしい」
という言葉もよく見聞きしますが、何で「モメる」のかというと、
「誰が何をもらうか」ということであったり、
「誰の取り分が多すぎる」といったことだったりします。
「家は長男がもらうのが普通だろう」とか
「介護したんだから、その分たくさんもらえるはず。」とか。
「権利」の主張合戦、といった様相を呈するのですね。
そこには「亡くなった方の意思」はまるで存在しないかのようです。
残された遺産は相続人である自分たちの物であって、それをどのように分けるかが問題である、というところからスタートしてしまっています。
でも、ちょっと待ってください。
もともと財産は亡くなった方のものでした。
生きている間、自分の財産は自分の自由になりました。
亡くなってしまったら、その自由も消滅・・・なのかというと、そうではありません。
「遺言」という形での自由が認められているのです。
遺言の形式は厳格に決められていますし、遺言で実現できる事項には制約がありますが、それでもやっぱり、遺言の本質は「ご本人の自由な意思」にあります。
相続人のうちの一人だけに全財産を相続させる、という内容の遺言がなされることがあります。
「そんな遺言はおかしい!」
と、大騒ぎになったりしますが、全然おかしくありません。
なぜなら、ご本人の自由だからです。
「遺留分の主張」がなされることもありますが、これは「自由」に対する事後の修正であって、「自由」を事前に制限するものではありません。
「法定相続分」についても誤解が多いようです。
法定相続分は、その名のとおり法律の規定により定められた相続分のことですから、何やらとても強力な「権利」のような感じがしますが、実は、そうではありません。
亡くなった方の遺言による意思表示がない場合にはじめて適用されるのが「法定相続分」なのです。
相続分を決めるのは本来はご本人の自由だけれど、何の意思表示もなかった場合には法律の規定を使ってね、ということなのです。
こうやって考えてくると、
「相続だ! 遺産分けだ!」
と騒ぐ前にやるべきことが見えてきますよね。
亡くなった方の意思の確認、すなわち遺言の確認です。
まずは遺言の有無の確認。
ご本人が意思表示をしていたかどうか、の確認です。
次に遺言の内容の確認。
ご本人がどんな意思表示をしていたか、の確認です。
どうやって分けるか、といった話は、その後です。
一点、気をつけていただきたいことがあります。
封のされた遺言書が見つかった場合には勝手に開封してはいけません。
法律で決められた手続きを踏む必要があるのです。
このあたりのことについては、また改めて。
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