「事理を弁識する能力を欠く常況」とは

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

上の写真は一昨日、11月26日の朝顔ちゃん。

蕾が開きかかったかな、と思ったら、これ以上は開かずにしおれてしまったのです。

 

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そして今朝。

別の蕾はこんな状態。

たぶん、このまま開かないのだろうな・・・

 

さて、今日は成年後見のお話。

まずはちょっとだけ条文にお付き合いください。

民法7条です。

 

第7条(後見開始の審判)

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、 ・・・中略・・・ 後見開始の審判をすることができる。

 

何だかものものしい言い回しですね。

「事理を弁識する能力を欠く常況」って一体どんな状態なのでしょう?

実は私も、未だによくわかりません。

でも、この言葉からは「全く会話も成り立たないような、かなり進行した認知症」といったイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。

でも、そうではないらしいです。

先日ある研修で、精神科医の方のお話を聞くことがありました。

その精神科医によると「事理を弁識する能力を欠く常況」すなわち「後見類型」とは「自分で財布の管理ができない状態」だとのこと。

この説明に私も、なるほどね、と思いました。

その日、自分が何にお金を使ったのだか覚えていない。

お金の管理に不安を覚えた家族が毎日一定額をお小遣いとしてご本人の財布に入れておくようにしても、知らぬ間にお財布が空っぽになっていて、お金がない!!という騒ぎになってしまう。

そんな方でも会話はそこそこ成り立つし、身の回りのことも、そこそこ自分で出来てる、ということは多いです。

でも、お財布の管理はできないのだから、やっぱり「後見相当」ということになる、ということらしいです。

ところで、東京家庭裁判所では、成年後見申立専用の「診断書」の書式が用意されています。

たった一枚の簡易なものです。

これは、専門の精神科医等でなくとも記入できるような配慮なんだそうです。

かかりつけの内科医などでも作成できるように、ということらしい。

成年後見制度の利用がしやすいように、ということなのでしょう。

この診断書には医学的診断以外に、「判断能力判定についての意見」の欄が設けてあります。

チェックをする形式になっています。

 

□自己の財産を管理・処分することができない。(後見相当)

□自己の財産を管理・処分するには、常に援助が必要である。(保佐相当)

・・・・・

 

といった具合です。

ここで求められているのは「医学的診断」ではなくて「意見」です。

これが、認知症などの専門医ではないお医者さんには、ちょっと荷が重い、ということがあるようです。

とりあえず会話が成り立つ、という人に関しては、「後見相当」にチェックを入れるのには、かなりためらいがあるとのこと。

それで「保佐相当」にチェック。

保佐開始となり、保佐人に就任した専門職は「財布の管理もできない被保佐人」にぶんぶん振り回される・・・という展開になることもあるようです。

 

今日は「・・・とのこと」、「・・・ようです」ばかりでスミマセン。

お医者さんではない立場では、こんな書き方しかできないのですが、よかったら参考になさってください。

 

【2019年8月14日追記】

成年後見申立て用の診断書は見直しが行われ、書式の改訂がなされています。

家庭裁判所のホームページ等で最新の情報を入手していただきますよう、お願いいたします。

 

【2019年11月2日追記】

この記事はネットでの検索に引っかかりやすいらしく、よく読まれています。

でも、この記事を読んでも「やっぱりわからない」と感じる方が多いのでは、と思います。

実は、私自身もいまだに「事理を弁識する能力を欠く常況」について理解が出来てはいないのです。

理解が出来ていない、というよりは「腑に落ちていない」という感じでしょうか。

ただ、この「お財布の管理」から考える、というのはイメージ形成の一助になると思っています。

なので、「この記事を読んだだけではわからないだろうなあ」と思いつつ、記事としては残してあります。

「参考にとどめる」という感じで読んでいただけましたら幸いです。

 

 

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2015年11月28日 | カテゴリー : 成年後見 | 投稿者 : Kazuko Kataoka