法律行為によって求められる「意思能力」は異なる。

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

我が家のベランダは現在、花がほとんどないです。

でも、ちゃんと楽しみはありまして。

葉っぱの違いを楽しむのです。

ためしに4種類集めてみました。

左上はガーデンシクラメン。

右上がマーガレット。春菊みたいな葉っぱです。

左下が黒葉ダリア。個性的な葉色でしょ。

そして右下がブルーデージー。斑入りの葉っぱが特徴的。

今日の東京は雨だけど、みんな雨に濡れて生き生きしてます。

 

さて。

今日は「意思能力」のお話です。

まずは民法の条文にお付き合いください。

 

民法第3条の2

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

 

いかがでしょう。

わかったようなわからないような。

当たり前のような、当たり前ではないような。

そういう時は「極端な場合」を考えてみるとよいのです。

重度の認知症で家族の顔もわからなくなっている方が「自分の住んでいる家を売る」と言って、契約書にサインをした。

・・・こんな場合にこの条文が効いてきます。

意思表示はあったかもしれないけれど、その時ご本人には意思能力はなかった、だからこの契約は無効である、ということになります。

至極まっとうな結論となります。

言いくるめてサインをさせた業者が「意思表示があるでしょ」と主張しても、「いやいや、意思能力がありませんでしたから」ということになり、法律行為は無効。

ご本人は家を失わずに済む、というワケです。

では、どの程度の能力があれば「意思能力あり」という評価になるのか。

認知症の場合だったら、例えば○○検査で何点以上あればよいのか。

実は、そんな単純な話ではないのです。

「自分の住んでいる家を売る」というのは、とても高度な判断が必要になる法律行為です。

値段の妥当性はもちろんです。

売ったあとどこに住むのか。

老人ホームに入るのだとしたら、収支はこれまでとどう変わるのか、やっていけるのか。

いろんなことを総合的に検討して判断した結果、「家を売る」という意思表示になるのですよね。

判断を誤れば大変な結果になってしまいます。

かなりのレベルの能力が必要になりそうですね。

一方、「全ての遺産を妻に相続させる」という内容の遺言の場合はどうでしょう。

重大な判断のようにも思えますが、実はそれほど高度な判断は必要ない、とも言えるのです。

認知症の診断を受けている高齢の方であっても、「自分には妻がいる。子供は二人いる。子供達は自立して立派にやっている。自分が死んだら妻が心配だ。」という程度の理解が保たれていれば、「全ての遺産を妻に」という遺言をするだけの判断能力があると言えるでしょう。

それに何といっても、ご本人に「損害」のようなものは発生しません。

遺言の効力が生じるのはご本人が亡くなられた後なのですから。

・・・いかがでしょう。

こんな感じで、「意思能力」は相対的なものなのです。

ごくごく簡単に解説してみましたが、「意思能力」が「○○検査で何点だった」といった単純なものではない、というイメージだけでも持っていただけたら、と思います。

 

 

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