こんにちは。司法書士の片岡和子です。
私は医療やら心理やらに関しては全くの素人です。
なので、今日のお話は「雑談」としてお読みくださいませ。
認知症の方に「物盗られ妄想」って、ありますよね。
お財布を自分で失くしたのに、
「出入りしてるヘルパーが盗んだ!」
と言って騒ぐ、というパターン。
周囲の人たちから見れば
「事実と異なることを主張している状態」
なのですから、
「それは妄想だろう!」
ということになりますよね。
そして、驚くほど類似の様相を呈するため、
「物盗られ妄想」
というパターンとして捉えられて、
「認知症の典型的な症状」
という理解がされることが多いようです。
でも、現場で認知症の方々と接していると、
「そうじゃないかも」
と思うことがあるのです。
彼らは、
「ありもしないことを妄想している」
のではないようなんです。
彼らは
「現実に自分が体験したことをつなぎ合わせて状況に説明をつけている」
ように思えるのです。
「財布をしょっちゅう紛失する」
というのは我々から見た「事実」ですけれど、彼らはそもそも「財布を紛失」という体験をしていない。
もちろんこれは記憶の低下によるものなのでしょうけど、
「覚えていない」=「体験していない」
なのですね。
悪気があるわけでも何でもなく、「財布を紛失した」という実感が欠落しているのですね。
彼らは、「財布を失くした」という体験をしていないのです。
でも、目の前に「財布がない」という事実がある。
記憶が失われても、論理的思考力は保たれているため、自分の置かれてる状況に説明をつけようとする。
「自分は財布を紛失していない」
「財布が見つからない」
という二つの「彼らにとっての事実」から導き出された答えが
「盗まれた」
なのですね。
たぶん
「盗まれたと考える以外に、この状況の説明はつかない。」
という感じなのではないでしょうか。
「妄想」というよりは「論理的帰結」だという気がします。
私がなぜこんな理屈っぽい考え方をするかというと、これによって、認知症の方々と接するのが少しだけ楽になるのです。
「あんたが財布を盗んだんだろう!」
みたいなことを言われると物凄く凹むのは誰でも同じ。
でも、こうやって
「こんなメカニズムなのかな?」
と自分なりに考えてみると、認知症の方の言動も
「なるほどね」
と思えて、あまり落ち込まずに済む、というわけです。
私は法律職ですから、理屈っぽいのは当たり前かも、ですが、理屈っぽいのがキライじゃない介護職の方々にもおススメです。
少しはストレスが減るかもしれませんよ~。
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