こんにちは。司法書士の片岡和子です。
東急大井町線の尾山台と九品仏の中間地点あたりで開業してます。
昨晩テレビの健康番組を見ていて思ったのだけど、健康情報番組というか、健康バラエティー番組、って多いですよねえ。
中でも、認知症を取り上げる番組が増えてきているように思います。
昨晩の番組も、認知症予防に効くポイント、みたいなことをやってました。
私は医学については素人なので、「認知症予防」が現在可能なのか、今後可能になってくるのかは、わかりません。
でも、既に認知症を発症してしている方々と仕事で接していて
「この人は、きちんと予防を心がけていれば認知症にはならなかっただろうな」
と感じたことはただの一度もありません。
大腸がんになった人について
「食生活が偏っていたのかなあ」
と思ったり、
肺がんになった人について
「喫煙者だったのかなあ」
と思ったりすることはありますけど、
認知症の人について
「この人は○○だったのかなあ」
といった特定のイメージは皆無です。
なので、テレビで
「認知症予防にはこれ!」
みたいなことをやっていると、何だかとても複雑な気分になってしまいます。
でも、やっぱり気にはなるので、つい見てしまうのですが。
それから、
「認知症の人への接し方の秘訣!」
みたいな情報も多いですよね。
食事をしたことを忘れてしまう人への対応法、だとか、財布を盗られたと訴える場合には一緒に探してあげましょう、とか。
こういった情報にも、私はとても複雑な気分になってしまいます。
言われていることは間違ってないけど、現場はそんな簡単なもんじゃないぞ、と。
私は現在、司法書士として成年後見の仕事をしています。
直接認知症の方の介護をすることはありません。
財産管理が主な仕事です。
でも、実は以前、訪問介護のヘルパーをやっていたことがあります。
例えば、認知症の方の入浴介助。
自分で顔を洗ったりはできるけれど、短期の記憶が抜け落ちているため、直前に洗ったことを忘れ、何度も何度も顔を洗うことを繰り返してしまう方。
こんな方に、
「さっき洗ったじゃないの」
なんてことは言いません。
もしも二度目の洗顔を始めてしまったら、気が付かないふりをして再度の洗顔をするに任せておいて、終わりそうになったタイミングを見計らって、すかさず
「○○さん、次は私が背中こすってあげるね~!」
と声をかけて次へ誘導します。
お風呂から上がって髪をとかそうとしたら櫛がみつからない、なんてことは毎回のこと。
もちろん
「また失くしたの?!」
なんてことは言いません。
いつも、ちょっと一緒に探してみたあと、
「櫛見つからないね。
ま、今日は手でまとめておいたら大丈夫。
櫛はまた今度一緒に探そうね!」
なんて言って進めていきます。
セオリーどおりにやっていたわけですが、いつもうまくいくとは限らない。
うまくいかずに困ってしまうことも多々ありました。
現場は健康番組の特集のようにはいかないんです。
それでも、私はヘルパーという「仕事」だからやれていた。
週に1回か2回、「入浴」の場面だけでその人に向き合えばよかった。
でも、一緒にいる家族は違うのですね。
24時間一緒にいて、セオリーどおりの対応ができるはずがないのですよね。
イライラすることもあるし、キレちゃうこともあるんだろうな、と思います。
何だか話がとっ散らかってしまいましたが、健康番組の認知症特集を見かけるといつも感じることを、いろいろと書いてみました。
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