こんにちは。世田谷区等々力の司法書士です。
事務所の最寄駅は東急大井町線の尾山台または九品仏。
自由が丘や二子玉川からも便利なところです。
お気軽にご相談においでくださいね。
今日は相続放棄が思いがけない結果を引き起こしてしまったお話。
事案に沿ってお話しましょう。
[事案]
AとBは夫婦で、成人した子C、Dがいる。
Aは酒好きギャンブル好きで、多額の借金がある。
BはAに愛想をつかし、別居し、離婚を考えていた。
そんな矢先、Aが急死した。
夫の残した謝金を背負わされないためには相続放棄をすればいい、
という知識のあったBは、C・Dと相談し、全員で相続放棄の手続きをした。
これでAの相続人は誰もいなくなったのだからひと安心、
とBはほっとしていた。
いかがですか?
よかったね、Bさん、と思われましたか?
いやいや、このお話、続きがあるんです。
[事案の続き]
Aには年老いた両親EとFがいた。
貸金業者はEとFに、Aの残した借金を返せと要求した。
息子の残した借金ならば、親が返すのは仕方のないことだと考えたDとEは、少ない蓄えの中から必死に返済を続けたが、長くは続かず、結局は自宅を売って返済することになってしまった。
後日、この話を聞いたBさんは驚いた。
全員が相続放棄したんだから、借金はなくなったはず。
それなのに親のところへ取り立てが行くなんて、ひどい!
一体どうなってるの!
いかがですか?
皆さんはどう思われますか?
実は、この事案、Bさんには勘違いがあるのです。
Aさんの相続人はBさんとC、Dです。
この3人が相続放棄をすればそれで一件落着、とBさんは考えました。
ところが、実はそうではないのです。
BさんとC、Dは相続放棄をして、相続人ではなくなりました。
それによって、Aさんの両親であるEさんとFさんが相続人になったのです!
ですから、貸金業者がEさんとFさんに返済を求めたことは不当ではありません。
EさんとFさんはAさんの借金を相続したのですから。
では、この場合、どうすればよかったのでしょう。
BさんとCさん、Dさんが相続放棄をした後に、EさんFさんも相続放棄をすればよかったのです。
そうすれば、EさんとFさんも相続人ではなくなり、借金の返済を求められても拒むことができたのです。
でも、高齢のご両親には、相続放棄をすればいいなんてこと、おわかりにならなかったでしょう。
ですから、Bさんがご両親に事情を伝えてあげるべきでした。
「自分と子供たちは相続放棄をしたので、EさんとFさんが今度は相続人になったのです。
このままでは借金を背負わされてしまうので、相続放棄の手続きをしてくださいね。」
と知らせてあげる必要があったのです。
それから大事なことをもうひとつ。
この事案では、EとFが相続放棄したとしても、それで終わりにならないかもしれない、ということです。
EとFが相続放棄をすることによって、今度はまた別の人が相続人になることがあります。
それは、場合によってAの祖父母であったり、兄弟姉妹であったりするのですが、いずれにせよ、このようなケースでは、関係者全員が事情を知っておき、全員で対応していく必要があります。
中途半端な知識で対応すると、この事案のようなことが起こってしまいます。
知識があやふやだったり、難しいな、と思われた場合には、必ず専門家に相談してから行動するようお勧めします。
☆こちらの記事も読んでみてね☆