こんにちは。世田谷区等々力の司法書士です。
事務所の最寄駅は東急大井町線の尾山台または九品仏。
自由が丘や二子玉川からも便利なところです。
どんな小さなことでも、お気軽にご相談においでくださいね。
ところで、私は現在53才の熟年女子。
ある程度の年齢になってからパソコンに触れるようになった世代なので、いまだにキーボードでの入力が苦手です。
のろいし、打ち間違いが多いんです。
昨日も、「家庭裁判所」が「家庭災難所」になってしまいました・・・。
たしかに、離婚や相続の争いで家庭裁判所を利用する方にとっては「災難所」かもしれませんね・・・。
さて、今日は相続放棄のお話です。
遺産分割協議の場で「自分は何もいらないよ」という場合のことではなく、家庭裁判所に「申述」をしてする、法律上の相続放棄のお話です。
相続放棄をする動機には、
被相続人から生前に贈与を受けた、とか
生活が安定していて遺産はいらない、とか
遺産を分散させたくない、
などが考えられます。
でも、これらが動機ならば法律上の相続放棄をしなくても、遺産分割の話し合いの中で事実上の相続放棄をすることでも対応できますよね。
実は、法律上の相続放棄が威力を発揮するのは、被相続人が債務超過だった場合なんです。
被相続人が借金をしていた場合、相続人は、借金も受け継ぐことになります。
被相続人の財産が多ければ、それを借金を返すのに使えばよいのですが、財産よりも借金の方が多かったら、マイナスになってしまいます。
そんな場合、相続放棄をすれば、相続人ではなくなるので、財産ももらえないけれど借金も払わなくてよい、ということになります。
ここで問題になるのは
お墓や仏壇はどうなるの?
ということ。
借金が多いので相続放棄をしようと思っている、そのために家や土地が相続できなくなるのは仕方がないけれど、お墓や仏壇もあきらめなくちゃいけないの?
という問題です。
答えは簡単です。
相続放棄をしても、お墓や仏壇は守ることができます。
なぜなら、お墓や仏壇は「相続財産」ではなく、相続の対象にはならないからなんです。
ここで、ちょっとだけ民法の条文におつきあい下さいね。
896条です。
「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。・・・以下省略・・・」
つまり、プラスの財産も借金も、すべて相続人が相続する、ということです。
なので、相続放棄をして「相続人」でなくなってしまえば、プラスの財産も借金も承継しないことになります。
次に897条を見てみましょう。
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。・・・以下省略・・・」
つまり、お墓や仏壇は相続財産ではなく、相続人ではなくて「祭祀を主宰すべき者」が受け継ぐ、と定められているんです。
ですから、相続放棄をしても、お墓や仏壇はそれとは関係なく「祭祀を主宰すべき者」が受け継ぐことになるんです。
「祭祀を主宰すべき者」っていったい何?
ということについては、また別の機会にお話することとして、今日は、
「相続放棄をしてもお墓は守れる」
と覚えておいてくださいね。
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