こんにちは。司法書士の片岡和子です。
通勤途中の線路脇で見つけた植物。
すっと伸びた細い葉っぱ。
スイセンじゃないかなあ、と思うのだけど。
よくわからないです。
見守ることにしましょう。
さて、今日は遺言が見つかった時のお話。
公正証書遺言とか法務局で保管されていた遺言ではなくて、自宅などで発見された自筆の遺言のお話です。
これは必ず家庭裁判所で「検認」の手続きをしなくてはなりません。
封筒に入って封がしてあって「遺言書」なんて書いてあったら、「これ勝手に開けちゃマズイんだよね、たぶん。」ということになって、ネットで調べたり専門家に相談したりして「検認が必要」という結論に行き着くことが多いだろうな、と思います。
でも実際には、そんな遺言書っぽい姿をしていないことも多いようです。
むき出しの便せん一枚に何やら書いてあって、「これ、もしかして遺言・・・だよね?」みたいな。
それでも、法律で決まった遺言の要件を満たしていれば、それは立派に遺言です。
検認の手続きをしなくてはなりません。
でも・・・もしも内容がトンデモナイものだったとしたら?
例えば、全ての財産を二男○○に相続させる、とか。
長男であるあなたは怒り沸騰です。
「こんなのオカシイ! こんな遺言は無効だ! 無理やり書かされたに違いない! いや、よく見ると筆跡がおかしいぞ・・・これは偽造だ!」なんていう騒ぎになったりします。
でも・・・やっぱり検認の手続きをする必要があります。
「いやいや、そんなことしたら、無効の、いや偽造の遺言書の内容を認めることになってしまうじゃないか!」と思われる方もいらっしゃるようです。
でも違うのです。
東京家庭裁判所のホームページに掲載されている説明によると
「検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。」
とのこと。
つまり一種の証拠保全手続きなのです。
保全された証拠(遺言書のコピーなど)は記録として家庭裁判所に残ります。
相続人であれば、もちろんこの記録にアクセスすることができるようになっています。
相続人全員が、保全された情報を共有できるような仕組みになっているのですね。
実は、ここがスタート地点なのです。
無効だとか書かされたとか偽造だとか、そういう話がここからようやく始まるのです。
「裁判所での手続き」と聞くと、「何かが決まってしまうのではないか、決まってしまったらその後は言い分があっても言えなくなってしまうのではないか」というイメージを持たれるかもしれません。
でも、遺言書検認は違うのです。
ですから、「この遺言はオカシイ!」と思っても、まずは検認手続き。
具体的な話はその後、なのです。
なるほど、と思っていただけましたら幸いです。
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