こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真は両親のところから分けてもらった多肉植物。
「虹の玉」というんだそうです。
寒くなると赤が強くなるらしい。楽しみです。
さて、今日のお話は「相続あるある」です。
親の相続に兄弟姉妹の配偶者が口出ししてくる、というやつ。
相続でモメる原因を集計したとしたら、絶対上位に来るだろうな、と思います。
当事者からしたら
「関係ないヤツは引っ込んでろーーー!!!」
と言いたくなることでしょう。
ホント、そのとおりです。
でも、口出しする人々からすれば
「関係あります! ウチのには任せておけません!」
というのが正直なところなのでしょう。
でも、よく考えてみると「なぜ関係ないのか」がイマイチわからない・・・なんて方も多いのではないでしょうか。
「モメないためには口を挟まず控えた方が良いのでは?」
といった漠然とした理解の方もおられると思います。
「マナーの問題」だと考えている方もおられるかも。
こんな時は、極端な場面で考えてみるとよいのです。
ためしに「熟年離婚」で考えてみましょう。
「離婚したいけど、ダンナはもうすぐ定年。
退職金が出るまで待って、半分貰って別れよう。」
という発想は「アリ」ですよね。
では、
「離婚したいけど、その後の生活が不安。
夫の親は病気でもうすぐ亡くなりそうだし、遺産が入るまで待って、夫の財産が増えてから離婚しよう。
そしたら財産分与で半分もらえるのよね?」
はどうでしょう?
これは「ダメ」ですよね。
これを「アリ」だという人は少ないでしょう。
なぜこれがダメなのかというと、
「親が死ぬのをアテにするなんてひどい! ヒトとしてどうなのよ!」
という話ではありません。
「あなたは財産形成に貢献したワケじゃないでしょ。」
という話なのです。
ここが退職金とは違うところ。
退職金は「夫婦で頑張った結果」だけれど、遺産は「相続人の配偶者には関係のないもの」なのです。
夫が親からもらった遺産は夫のもの。
妻が親からもらった遺産は妻のもの。
ですから「相続問題に配偶者が口を出す」ことは、「そもそも自分には権利がないのに発言する」ということ。おかしなことなのです。
まさに「関係ないヤツは引っ込んでろ!」なのです。
でも・・・
これを叫ぶことには殆ど意味がないのです。
「兄は子供の頃から公平な判断が出来る人でした。
ですから、父の相続でモメるなんて思ってもみませんでした。
兄は、なんだかんだと理屈をつけて遺産を独り占めしようとするのです。
本当に人が変わってしまったようです。
まるで別人のようで、信じられない思いです。
兄の奥さんが、いろいろと入れ知恵しているに違いありません。
兄には目を覚まして欲しいです。昔の兄に戻ってほしいです。」
なんていう話は、掃いて捨てるほどたくさんあります。
「妹のダンナがあれこれ言うみたいなんです。
きょうだいで話がまとまりかけていても、次の話し合いの時には蒸し返しになってしまうんです。
ダンナがあれこれと指示をして、妹はそれに逆らえないようなんです。
でも、配偶者はそもそも関係ないですよね?
一度、妹のダンナに直接話をしてみようと思っているのですが・・・。」
なんていう話もよく聞きます。
こんな場合、どうすればよいのかというと、
「どうしようもない。どうにもならない。」
というのが答えです。
確かに、「配偶者が口を出すのはおかしい」のですけど、それを指摘したところで、
「そうだよね。自分が間違ってた。ごめんね。」
という展開になることなど期待できない、というのが現実なのです。
「兄は人が変わってしまった」のだし
「妹はダンナに逆らえない」のです。
これが現実。
兄や妹やその配偶者を非難しても相続問題は進展せず、解決もしないのです。
相続問題では、他の相続人の
「態度のおかしさ」
に意識が集中してしまいがちですが、そこからいったん離れて、
「他の相続人の主張そのもの」
だけに集中して、その主張が正当なものであるかどうかを検討していく、という姿勢が必要になると思います。
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