こんにちは。司法書士の片岡和子です。
朝顔ちゃん、蕾がつきました。
嬉しいです! 花が楽しみです!
私の毎朝のいちばんの楽しみは、カーテンを開けて、植物の様子を見る瞬間。
そして毎晩の楽しみはテレビ。
あまりにも普通ですが。
大好きなのは刑事もの。
あ、これは正確じゃないです。
主人公は「刑事」じゃなくてもいいんです。
推理もの、事件もの一般、ということかな。
これらのドラマのシーンでよくあるのが、パソコンの中などに書き置きがあって、
「遺書が見つかりました!」
というやつ。
犯人の偽装工作として、よく登場しますよね。
あの「遺書」は、たとえ偽装でなく本物であったとしても、民法上の「遺言」ではありません。
法的な効力は持たないのです。
公証人が関わらない形で法的に有効な遺言をする場合、基本的に、「自筆」であることが必要です。
(危急時遺言といった例外もありますが、ここでは考えません。)
法的に有効な遺言をするには、民法の規定どおりにしなければなりません。
ここで民法第968条1項を見てみましょう。
第968条(自筆証書遺言)
①自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
わかりやすいですね。
条文に書いてあるとおりです。
ここで、ちょっとした疑問が湧きませんか?
「封筒に入れて封をすること」は必要ないの? という点です。
亡くなった父の部屋の整理をしていたら引き出しから封筒が出てきた。
深く考えずに中身を取り出して見てみたら、便箋に父の字で
「全財産を妻の○○に相続させる」
といったことが書かれている。
もしやこれは遺言書?
でも、封もしていない封筒に便箋一枚が入っているだけ。
これは遺言書と言えるのか?
こんな時は民法968条と照らし合わせてみてください。
この要件を満たしていれば、それは「遺言書」です。
全文が自書されていて、日付が入っていて、署名がされていて、ハンコが押されていれば、封がされていなくても、それは遺言書なのですね。
さて、ここから先は「検認」のお話です。
自筆の遺言書が見つかった場合には、家庭裁判所で「検認」の手続きをしなければなりません。
民法1004条3項には
「封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立ち会いがなければ、開封することができない。」
と書いてあります。
ここだけを読むと、封印のある遺言書を裁判所で開封するのが「検認」なのかな、という印象を受けてしまいますが、実はそうではありません。
封印があろうがなかろうが、自筆の遺言書は検認を受けなくてはならない、もしも封印がされていた場合には、検認の場で開封しなければならない、ということなのです。
今日は遺言のお話でした。
参考になさってください。
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