【遺言書検認】相続人が行方不明の場合は?

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

今日は遺言書検認のお話。

遺言書保管制度を利用していない自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認を受けなくてはなりません。

・・・とイキナリお堅い文で始めてしまいましたが、要するにこんな場面のこと。

高齢の父から「遺言書」と書かれた封筒を渡された。

「自分が死んだら、この家がちゃんとお母さんのものになるように遺言を書いたから預かっておいてくれ」と。

あなたは娘です。

「お母さんにはいろいろと手続きは難しいだろうから」。

母も高齢で、たしかに遺言を預けるのはちょっと心配です。

「太郎があれこれ言って、お母さんがこの家に住めなくなったら大変だから」。

あなたの兄の太郎は浪費家で、いつもお金に困っています。

以前「親父が死んだら、この家を売って、そのカネを分けよう」という発言をして、父が激怒したことがありました。

で、父は自筆の遺言書を作成して娘に預けた、というワケです。

そしてお父さんは亡くなりました。

遺言書の保管者であるあなたは、家庭裁判所に「遺言書検認の申立て」をしなくちゃなりません。

遺言書は裁判官や相続人の面前で開封されるのです。

(遺言書には「不動産は全て妻に相続させる」といったことが書いてあるのでしょう。)

検認手続きを終えた遺言書には「検認済証明書」がくっつけられます。

この証明書付き遺言書を添えて法務局へ申請をすれば、家の名義を父から母へ変えることができる・・・

・・・という流れになるのです。

で、この遺言書検認申立てのお話です。

何だか難しそう・・・専門家に頼まなくちゃ無理なのかな? というイメージがあるかもしれませんが、実はそうでもないのです。

東京家庭裁判所の場合だと、ホームページから申立書の書式がダウンロードできますし、記載例も載ってます。

(あ、インターネットを使わない人には難しい、ということになりますね。でも、ネットを使わない人は、そもそもこの記事を読んでないでしょうから。)

相続人が妻と子供2人だけ、なんていうシンプルな場合には、それほど難しくはないのです。

亡くなった方の出生から死亡までの全ての戸籍や、相続人の現在の戸籍が必要になりますが、これも役所で相談すれば何とかなると思います。

難しくなるのは、相続人が多数だったり、相続関係が複雑だったりする場合。

そんな場合には申立書の作成や戸籍の収集を司法書士に頼むとよいのです。

でも、自分で出来るんだったら、おカネかけて頼む必要もないですよね。

遺言書検認申立ての際には関係者情報を記載した目録が必要になります。

冒頭の写真は、東京家庭裁判所で使用している「相続人等目録」のサンプルです。

何故これが必要なのかというと、ここに記載された情報をもとに、裁判所から相続人にお知らせを送るのです。

「○月○日○時から○○さんの遺言書検認を行います。欠席される場合にはご連絡ください」みたいな。

なので、相続人の氏名だけじゃなくて住所も必要になります。

で、ここからが今日のテーマ。

相続人の中に行方不明の人がいたらどうなるの? というお話です。

浪費家の兄・太郎が借金取りに追われて夜逃げして行方不明になっている、みたいな。

太郎さんの「戸籍の附票」を取れば、住所の移転履歴はわかります。

でも、居場所を知られるのを恐れて住民票を移さずに引っ越してしまった場合には、戸籍の附票に記録が残りません。

一体どうすればいいんでしょう?

結論から言うと、所在のわからない相続人がいても遺言書検認は行われます。

「相続の際に行方不明者がいる場合には不在者財産管理人を選任してもらわなければならない」といった話を聞いたり読んだりされたことがあるかもしれません。

でも、遺言書検認の場面では、その必要はないのです。

遺言書検認は、遺言書そのものの状態を確認して記録に残す、というものです。

有効・無効の判断をする場ではなく、いわば「証拠保全」のようなものです。

相続人全員が関与しなければ効力を生じない、といったものではないのです。

なので、相続人の中に行方不明者がいる場合でも、とにかく検認の申立てをすればいのです。

行方不明者の住所欄の記載はどうするの? とか、何か資料をつける必要があるの? といったことに関しては、申立てをする家庭裁判所に問い合わせをして指示に従えばよいです。

(裁判所によって扱い、やり方が異なるかもしれません。)

さて。

こうやって兄・太郎が行方不明でも無事検認が完了、そしたら早速家の名義を父から母へ!

・・・とはいかない場合もあるのです。

遺言書に不備があって「使えない!」なんて展開になることも。

これ、結構あるのです、残念ながら。

そうすると、結局は相続人全員での遺産分割協議が必要になり、不在者財産管理人だの何だのという問題が出てきてしまいます。

なので、もしもあなたがこの話の娘さんのように「遺言書を預かって」と頼まれた場合には、「お父さん、遺言は公正証書にしておいたほうがいいよ、その方が確実だよ」とアドバイスしてあげてくださいませ。

公正証書遺言は検認手続きが不要です。

(公証役場できちんと保管されるので偽造・変造の恐れがない、つまり証拠保全の必要がない。)

内容の面で不備が生じることも、通常は考えられないです。

(法律のプロである公証人が作成するので。)

結局のところ、公正証書遺言がベストなのです。

最後は今日のテーマからは少々ズレてしまいましたが、参考になりましたら幸いです。

 

 

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2021年10月27日 | カテゴリー : 相続・遺言 | 投稿者 : Kazuko Kataoka