特別養子縁組とは

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

 

昨日、久しぶりに「美容院」へ行きました。

この数か月、髪が伸びて鬱陶しくなると、「クイックカット」みたいなところへ行って切ってもらって凌ぐ、ということを繰り返していたのですが、ちょっと気分に余裕ができたのか、ちゃんとした美容室に行きたくなったのです。

わさわさと伸びてしまった白髪アタマで鏡の前に座ると、一瞬

「あれ、おばあちゃん、なんでここにいるの?」

と思いました。

母とそっくりなのですねえ。

白髪は、やっぱり伸びてくると目立つのかなあ。

で、この際、さっぱりと、思い切った短髪にしてみました。

眉毛も、耳も、思いっきり出して、男性のようなヘアスタイルです。

これなら、白髪も逆にスタイリッシュかも、と悦に入っていたのですが・・・

帰宅してコンタクトレンズを外して赤い眼鏡をかけると、

あれ? 誰かに似てる・・・

母じゃなくて・・・

息子だ!

眼鏡をかけている時の我が息子にそっくりです。

(正確には、私が息子に似ているのではなくて、息子が私に似ている、のでしょうけど。)

まあ、母やら息子やらと似てるって、当たり前なのですけど。

血が繋がっているのですから。

 

さて、母~私~息子のような関係を「自然血族」といいます。

それに対して、「法定血族」というものがあります。

「法律上の血族」のことです。

法定血族の関係は、養子縁組によって生じます。

養子縁組には2種類あります。

そのうち、「普通養子」の場合には、実の親や兄弟姉妹との親族関係も存続するのだということは、昨日の記事でご紹介しました。

→「養子に行った兄弟姉妹も相続人である(普通養子の場合)」はこちら

それに対して、実父母などとの親族関係が消滅するタイプの養子縁組の制度があります。

これが「特別養子縁組」です。

この特別養子縁組の制度の趣旨は「子の福祉」です。

実の親が子を養育するのにふさわしくない場合などに、養子縁組によって、子に嫡出子の身分と健全な養育環境を得させ、同時に、実方の親族との法的な関係を終了させる、というものです。

特別養子縁組の成立の要件は大変厳しいです。

子は原則として6歳未満であること、

子の利益のために特別の必要性があること、

養親となる者による監護の状況が適切であること、

その他いろいろ。

特別養子縁組が成立した場合には、戸籍への記載も子に配慮したものとなります。

一見すると自然血族の場合と見分けがつかないような記載方法です。

実の親の名前はどこにも載っていませんし、「特別養子縁組」という言葉も使用されません。

ということは、その子が大きくなって、実の親のことを知りたい、と考えた時に戸籍から辿ることはできないのか・・・というと、そうではありません。

やはり、辿ることが出来るようになっています。

(知識がないと難しいとは思いますが。)

なぜ実の親との関係を辿れるようにしておく必要があるのかというと、ひとつには近親婚の回避。

それと知らずに実は血のつながった近親者と結婚してしまった、という状況が起こることを避ける必要がありますので。

もうひとつは、やはり「出自を知る権利」ということでしょう。

特別養子縁組の制度は「子の福祉」のための制度であって、子が欲しい人、親になりたい人のための制度ではないのですね。

「実の親のことを知らせたくない」という親の気持ちはあるでしょうけど、適切な環境で育って、ある程度の年齢になった子の側に、自分の出自を知るか、あるいは知らないでおくかの選択をさせる、というのが、この制度の根本にある考え方なのだろうと思います。

 

【2019年1月31日追記】

特別養子縁組の要件が見直されることになりました。

年齢要件が「原則15歳未満」に引き上げられる見込みです。

その他にもいくつか改正点があるようです。

特別養子縁組の制度の利用を考えておられる方は最新の情報をよくご確認ください。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★養子縁組の届出は役場へ。許可は家庭裁判所で。

★未成年後見人が未成年者を養子とする場合について

★超入門⑪ 養子に行った弟は父の相続人なのか?

★スムーズな相続のために④ 養子縁組や認知について理解しておく。

★勝手に深読み・民法809条【養子縁組の効力】養子に「行く」が誤解のもと。

 

 

2015年8月23日 | カテゴリー : 相続・遺言 | 投稿者 : Kazuko Kataoka