養子に行った兄弟姉妹も相続人である。(普通養子の場合)

DSC03974

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

今日は二子玉川の花火大会。

東急大井町線は臨時ダイヤになるそうで、駅の時刻表の上には

「本日臨時ダイヤです」

という紙が貼ってありました。

15時ごろの自由が丘駅には、浴衣姿の可愛い女の子がいっぱい。

「楽しんでおいでね~!」

と心の中で声を掛けました。

私はというと、昨日受け取れなかった特別送達や書留の再配達を、今日の17時~19時に頼んでいるため、現在事務所にいます。

花火を見に行くかどうかは、これらの届く時間次第。

 

さて、今日は養子縁組のお話です。

先日、ある高齢の方の昔話を聴いていたら、

「実は養子に行った妹がいるんだよ。

生まれてすぐに養子にもらわれて行ったから、

今はどこでどうしてるかは、わからない。

でも、そんなもんだよね。

よその家の人になっちゃったんだからね。」

という話が出ました。

この方には、配偶者もお子さんもおられません。

ご両親や、祖父母などの直系尊属の方々も

既に亡くなっています。

ということは、もしもこの方が亡くなられた場合には、「よそに養子に行った妹」は、生きておられたとしたら、この方の相続人です。

「え? そうなの???」

と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「養子に行く」という表現は一般的に使われますが、民法の世界では「養子縁組」と言います。

養子縁組をするとどうなるかというと、それは、民法809条に書いてあります。

 

民法第809条

養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

 

難しいことはともかく、「法律上の親子となる」と考えておけばよいです。

法律上の親子関係が生ずるのですから、養親が亡くなった場合には、養子は相続人となります。

では、養子縁組が行われた場合、「実の親」との関係はどうなるのでしょうか。

これは、普通養子縁組の場合と特別養子縁組の場合で異なります。

ただ、特別養子縁組というのは、その名称のとおり特殊な形態の養子縁組ですので、ここから先は普通養子縁組についてのお話としましょう。

 

普通養子縁組では、「実の親」との関係は切れません。

親族関係は存続するのです。

ですから、実の親が亡くなった場合には、養子に行った子も相続人となります。

養子は、実親・養親両方の相続人となるのですね。

いわば「二重に遺産をもらえる」立場になります。

このことが、実感として納得いかない方もおられるようですが、法律上はそのようになっています。

(事実上は、遺産分割で「取り分なし」と決める場合も多いのでしょうが。)

関係が切れないのは、実父母とだけではありません。

実方の親族との親族関係は存続します。

養子に行っても、法律上の兄弟姉妹の関係は残るのです。

ですから、「兄弟姉妹」が相続人になる場合には、「養子に行った兄弟姉妹」も相続人となるのです。

これはなかなか大変な状況です。

養子に行った兄弟姉妹と、つきあいが続いていたならまだしも、どこでどうしているかわからない、ということになると、相続の手続きは大変なものになってしまいます。

このような状態になることを防ぐのは、実は可能です。

遺言を作成しておけばよいのです。

兄弟姉妹には遺留分がありませんから、適切な内容の遺言を作成しておけば、自分の意思をそのまま実現することができます。

 

・・・いろいろと書いているうちに「遺留分」などという難しい話になってしまいましたので、今日はここまでにしておきましょう。

「普通養子縁組では実方との親族関係は存続する」

ということを、ぜひ覚えておいてくださいね。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★特別養子縁組とは

★超入門⑪ 養子に行った弟は父の相続人なのか?

★勝手に深読み・民法809条【養子縁組の効力】養子に「行く」が誤解のもと。

★スムーズな相続のために④ 養子縁組や認知について理解しておく。

★養子縁組の届出は役場へ。許可は家庭裁判所で。

 

 

2015年8月22日 | カテゴリー : 相続・遺言 | 投稿者 : Kazuko Kataoka