こんにちは。司法書士の片岡和子です。
今日は二子玉川の花火大会。
東急大井町線は臨時ダイヤになるそうで、駅の時刻表の上には
「本日臨時ダイヤです」
という紙が貼ってありました。
15時ごろの自由が丘駅には、浴衣姿の可愛い女の子がいっぱい。
「楽しんでおいでね~!」
と心の中で声を掛けました。
私はというと、昨日受け取れなかった特別送達や書留の再配達を、今日の17時~19時に頼んでいるため、現在事務所にいます。
花火を見に行くかどうかは、これらの届く時間次第。
さて、今日は養子縁組のお話です。
先日、ある高齢の方の昔話を聴いていたら、
「実は養子に行った妹がいるんだよ。
生まれてすぐに養子にもらわれて行ったから、
今はどこでどうしてるかは、わからない。
でも、そんなもんだよね。
よその家の人になっちゃったんだからね。」
という話が出ました。
この方には、配偶者もお子さんもおられません。
ご両親や、祖父母などの直系尊属の方々も
既に亡くなっています。
ということは、もしもこの方が亡くなられた場合には、「よそに養子に行った妹」は、生きておられたとしたら、この方の相続人です。
「え? そうなの???」
と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「養子に行く」という表現は一般的に使われますが、民法の世界では「養子縁組」と言います。
養子縁組をするとどうなるかというと、それは、民法809条に書いてあります。
民法第809条
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
難しいことはともかく、「法律上の親子となる」と考えておけばよいです。
法律上の親子関係が生ずるのですから、養親が亡くなった場合には、養子は相続人となります。
では、養子縁組が行われた場合、「実の親」との関係はどうなるのでしょうか。
これは、普通養子縁組の場合と特別養子縁組の場合で異なります。
ただ、特別養子縁組というのは、その名称のとおり特殊な形態の養子縁組ですので、ここから先は普通養子縁組についてのお話としましょう。
普通養子縁組では、「実の親」との関係は切れません。
親族関係は存続するのです。
ですから、実の親が亡くなった場合には、養子に行った子も相続人となります。
養子は、実親・養親両方の相続人となるのですね。
いわば「二重に遺産をもらえる」立場になります。
このことが、実感として納得いかない方もおられるようですが、法律上はそのようになっています。
(事実上は、遺産分割で「取り分なし」と決める場合も多いのでしょうが。)
関係が切れないのは、実父母とだけではありません。
実方の親族との親族関係は存続します。
養子に行っても、法律上の兄弟姉妹の関係は残るのです。
ですから、「兄弟姉妹」が相続人になる場合には、「養子に行った兄弟姉妹」も相続人となるのです。
これはなかなか大変な状況です。
養子に行った兄弟姉妹と、つきあいが続いていたならまだしも、どこでどうしているかわからない、ということになると、相続の手続きは大変なものになってしまいます。
このような状態になることを防ぐのは、実は可能です。
遺言を作成しておけばよいのです。
兄弟姉妹には遺留分がありませんから、適切な内容の遺言を作成しておけば、自分の意思をそのまま実現することができます。
・・・いろいろと書いているうちに「遺留分」などという難しい話になってしまいましたので、今日はここまでにしておきましょう。
「普通養子縁組では実方との親族関係は存続する」
ということを、ぜひ覚えておいてくださいね。
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