こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真の風船みたいな物体はブルーデージーのつぼみ。可愛い❤
大きさは直径7~8ミリといったところ。
冬を無事に越して、いよいよ開花。楽しみです♪
さて、今日は民法809条、養子縁組のお話です。
さっそく条文を読んでみましょう。
あ、緊張しなくて大丈夫、とても短い条文です。
民法第809条【嫡出子の身分の取得】
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
養子縁組をすると養親の子になる、ってこと。
(「嫡出子」とは「法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子」のこと。いわゆる「婚外子」と対立する概念だと考えておけばよいです。)
親子関係が生じるのですから、それに伴って権利も義務も生じます。
お互いに、です。扶養だとか相続だとか。
ところで、養子縁組をした場合、元の親やきょうだいとの関係はどうなるのでしょう?
実は「特にどうにもならない」というのが答えです。
ここを勘違いされてる方も多いようです。
よくあるのが「父が亡くなりました。弟は幼い頃に他家へ養子に行ったので、相続には関係ありませんよね?」というもの。
「いえいえ、弟さんもお父さんの相続人なのですよ。」とご説明すると、とても驚かれます。
「なぜですか?」と聞かれると、とても困ってしまいます。
民法には「養子縁組をしても実方(縁組前のもともとの親族のこと)との関係は切れない」とは書いてありません。
ですから、「民法○○条を見てくださいね。」という説明はできないのです。
でも、間接的な説明はできます。
民法817条の2第1項には次のように書かれています。
「家庭裁判所は、次条から第817条の7までに定める要件があるときは、養親となるものの請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。」
長いですねえ、そしてムズカシイですねえ。
要するに、「特別養子縁組」というものがあって、その場合には実方との親族関係が終わる、と言っているのです。
裏を返せば、普通の養子縁組の場合は、実方との親族関係は終わらない、ってことなのです。
「なるほど!」にはならないかも、ですけど。
「養子に行ったらヨソの人、こっちの相続には関係ない」という誤解をする方が多いのは、日本語にも原因があるのかもしれません。
「養子に行く」という表現です。
「行く」という動詞は「元の場所にはいなくなる」というニュアンスを含んでいると思うのです。
体は一つしかありませんから、二か所に同時に存在はできません。
「あっちへ行ったら、こっちにはいなくなる」のですねえ。
そんな動詞が「養子縁組」にくっついて使われるために誤解が起きがちなのでは、なんてことを考えてしまいます。
「養子縁組をする」という表現が定着するといいなあ、と思います。
・・・いやいや、ムリでしょう。
日常語の世界に法律用語が割って入って定着するのは至難のワザ。
「入籍しました!」という言葉を聞くたびに「婚姻届を提出しました、と言ってくださ~い!」と叫びたくなる私ですが、いくら叫んでみても「婚姻届を提出しました」が日常語になることはないでしょう・・・。
あ、脱線しました。
念のため補足しておきますが、実は「養子に行く」という表現が全く的外れだというワケでもないのです。
養子縁組をすると養子は養親の氏を名乗るのが基本です。
養子が未成年であれば親権者は養親です。
これらの点に着目すれば「家を出て行った子」というイメージも間違いとは言えませんよね。
ただ、「養子に行く」という表現にはやっぱり意味のズレがあって、それが相続の場面で一気に表面化する、という感じでしょうか。
言葉ってムズカシイなあ・・・と最後は雑にまとめて、今日のお話は終わりです。
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