こんにちは。司法書士の片岡和子です。
東急大井町線の尾山台と九品仏の中間地点あたりで開業してます。
ある日ある場所での会話。
「この手続きには、亡くなったお父様の戸籍謄本が必要です。」
「わかりました。取り寄せます。除籍謄本ですね。」
「いえ、戸籍謄本です。」
「え? 父は亡くなったんですよ。だから除籍されてますよね?」
「はい、亡くなられると除籍されます。」
「だったら、必要なのは除籍謄本ですよね。」
「いえ、戸籍謄本です。」
何だか訳のわからないやり取りになってますねえ。
なぜこんなことになるのかというと、「除籍」に二つの意味があるからなんです。
誰かが亡くなると、その人は戸籍から「除籍」されます。
これが一つめの意味。
「戸籍からの除籍」ということですね。
同じ戸籍に入っている人全員が亡くなってしまうと、その戸籍は「除籍」になります。
これが、もう一つの意味。
「戸籍の除籍」ということですね。
戸籍そのものが「お蔵入り」する、というイメージです。
たとえば、夫が亡くなって戸籍から「除籍」されても、妻がまだ存命中で戸籍に残っていれば、その戸籍は「除籍」にはなりません。
戸籍にはまだ妻がいるのですから、「お蔵入り」させるわけにはいかないのです。
この場合に夫の死亡の事実を証明するには「戸籍謄本」を取得することになります。
ちょっと説明の仕方を変えてみましょう。
「お蔵入り」になっていない戸籍の謄本のことを「戸籍謄本」と呼び、
「お蔵入り」になった戸籍の謄本のことを「除籍謄本」と呼ぶのです。
「除籍謄本」とは
「除籍になった人の謄本」ではなくて、
「お蔵入りになった戸籍の謄本」なのですね。
ここまでの説明をふまえた上で、冒頭の会話をもう一度読んでみてください。
なるほど! と思っていただけたら嬉しいです。
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