法律用語をわかりやすく。③除斥期間

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

写真は事務所近くの線路脇で撮ったもの。

お見事!な球体に仕上がってます♪

 

さて、今日は法律用語解説。「除斥期間」です。

除斥期間とは、「法律で定められた権利の存続期間で、個別の事情に関わりなく単純に時間の経過で権利が消滅するもの」のこと。

「消滅時効のことですか?」と言われそうですが、性質が異なります。

消滅時効は、時効の進行が中断することがありますが、除斥期間に中断はありません。

消滅時効は、当事者が「援用」して初めて効力が生じますが、除斥期間の場合は、何もしなくても勝手に権利が消滅します。

例えば「遺留分侵害額請求権」では「10年」という除斥期間が定められています。

10年が経過してしまうと、自動的に権利が消滅してしまうのです。

あ、「遺留分侵害額請求権」が難しいですね。

「遺留分」というのは兄弟姉妹以外の相続人に保証されている一定割合のことです。

ある人の相続人が子Aと子Bの2名で、「全財産をBに相続させる」という遺言があったとしましょう。

Aには遺留分がありますから、それを侵害された分の金銭の支払いをBに請求できるのです。

ちょっと頑張って民法の条文にお付き合いください。

 

【遺留分侵害額請求権の期間の制限】

第1048条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。

 

前段は、相続が開始したこと等を知ってから1年以内に権利を行使しなければならない、と言っています。

後段は、(相続が開始したこと等を知らなかったとしても)10年経過すると権利が消滅する、と言っています。

条文中にはっきりと書かれているワケではありませんが、この後段の「10年」が除斥期間なのです。

自分の権利が侵害されていると知って、その権利を主張したいならば、放置せずにさっさと行動を起こしなさい・・・これは理解できますよね。

でも、自分の権利が侵害されたと知らずにいた場合でも、時間が経つと権利が消滅する、というのです。

これはなかなかキビシイ、とお感じになるかもしれません。

でも、どこかで権利関係を確定しなくてはならない、権利が行使されるかどうかわからない宙ぶらりんの状態が長く続くのは好ましくない、ということなのです。

ところで、「相続が開始したこと等を知らずにいる」なんてことあるのかな? という点について。

Aが前婚の子で、全く交流がなく居場所もわからない、といった場合などには十分あり得ます。

遺産分割の話し合いが必要ならば、BとしてもAを探し出して連絡を取る必要がありますが、ちゃんとした遺言がある場合にはその必要もありませんし。

そうやって10年が経過すると、この件は確定して、蒸し返されることはなくなる、というワケです。

 

いかがでしょう。

「除斥期間」がどのようなものか、少しだけでもイメージしていただけましたら幸いです。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★法律用語をわかりやすく。①強行規定(強行法規)

★法律用語をわかりやすく。②行為能力

★遺留分を侵害する遺言は「無効」ではない

★遺言は万能ではない。⑤遺言と異なる内容の遺産分割

★遺言があっても、やっぱり争いになってしまうことはある。

 

★ブログの更新情報や私のちょっとした近況などを facebook で公開しています。

ぜひ覗いてみてくださいね。

→ → → こちら

 

片岡和子司法書士事務所へのお問い合わせ・相談予約はこちら