こんにちは。司法書士の片岡和子です。
9月前半に、他の植物の鉢に突然出現した朝顔。
その後も成長を続けています。
ひょろひょろと、ひ弱な姿ですが。
そしてついに蕾も。
(わかりにくいけど、写真の中央部です。)
咲くのか? 咲かないまま終わるのか?
経過観察です♪
さて、今日は成年後見の話題です。
高齢の親御さんが認知症になってしまい、息子や娘が成年後見人になることがあります。
成年後見制度は「必ず利用しなくてはならない」ものではありませんから、実際に後見制度の利用を検討するのは「必要に迫られて」が多いです。
よくあるのが「遺産分割」のケース。
高齢の父親が亡くなり相続の手続きを行わなくてはならないが、母親が認知症である・・・というのが典型的。
で、息子が母親の成年後見人になり、いざ遺産分割協議・・・でも、あれ?
もしもこの息子が一人っ子だったら、相続人は母と息子の2名。
息子は、「息子」と「母の後見人」の二重の立場で、単独で遺産分割を行うことになるのか?
遺産の分け方を一人で決めることになるのか?
いやいや、それはマズいでしょ。
自分の好き勝手が出来てしまいますものね。
というワケで登場するのが「特別代理人」です。
民法第860条に規定があります。
【民法第860条】
第826条の規定は、後見人について準用する。ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。
あ・・・何のことかわからないですね。
第826条を見てみましょう。
【民法第826条第1項】
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
余計にわからなくなったかも・・・ですね。
つまり、親権者の場合も後見人の場合も、「利益相反」の場合には特別代理人が必要になる、ということ。
利害が対立する場合には単独で決定してはならない、中立な第三者に関わってもらう必要がある、ということなのです。
特別代理人が未成年者や被後見人の代理人となって遺産分割等を行うのです。
では、母親の成年後見人になった息子は、さっそく家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」をしなくちゃならないのか、というと・・・
実はそうとは限らない、というのが今日のお話。
遺産分割等が予定されている場合、家庭裁判所が職権で後見監督人をつけることがあるのです。
素人である親族後見人には少々難しい解決課題がある場合、専門職の監督人をつけてサポートさせよう、というワケです。
余計なことするなよ、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
頼みもしないのに勝手に監督人がつけられてしまうなんて。
あれこれ細かく監督される上に、報酬を払わなくちゃならないんでしょ?
でも実は、案外「使える」のが監督人なのです。
相続手続きのやり方など、いろいろと教えてくれますし。
そして、実際に遺産分割協議を成立させる場面では民法860条の後半部分が効いてきます。
「ただし、後見監督人がある場合は、この限りでない。」でしたね。
後見監督人がいる場合、監督人が被後見人を代理することになります。
特別代理人は不要、ってことですね。
でも、遺産分割が完了した後も監督人に居座られたら鬱陶しいですよね。
実は、「いらなくなった監督人はやめてもらう」なんてこともあるのです。
実際には、我々専門職が監督人を引き受ける際、あらかじめ裁判所からの指示があるのです。
「こんな課題があるのでサポートしてあげてね、課題が解決して監督人が不要になったら辞任してね」みたいに。
各家庭裁判所によって扱いは異なると思いますが、東京家庭裁判所では、わりと柔軟な運用がなされているのです。
いかがでしょう。
へえ~、と思っていただけましたら幸いです。
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