こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真は両親の家の庭で見つけたもの。
「ハナカイドウ」らしい。
本当は4月頃に咲くのだそうです。
狂い咲き、ってヤツですねえ。
青空にピンクが綺麗です♪
さて、今日は成年後見の話題です。
「成年後見制度を利用すると司法書士などの専門職後見人に報酬を支払わなくてはならないから、利用は避けるべき!」
・・・という話を読んだり聞いたりすることがあります。
でも、何かしら仕事をしたら報酬が発生するのはアタリマエ。
報酬額が適正なのか? といった問題はあるかと思いますが。
以前は、後見人には親族がふさわしいのでは? というケースでも専門職が後見人に選任されることがありました。
それで「後見制度はトンデモナイ制度だ、けしからん!」と感じる方も多かったようです。
今では「親族が後見人になる」が基本になっています。
私のような専門職が後見人になるのは、親族に適任者がいないケースです。
で、仕事としてやっているのだから報酬をいただくのは当然、という話になるのですが・・・
じゃあ、親族後見人は必ずタダ働きなのか? というと実はそういうワケではないのです。
後見人の報酬については民法に規定があります。
【民法第862条】家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
どこにも「専門職後見人」なんていう言葉は出てきませんよね。
親族であっても後見人として報酬を受け取ることができる、ということです。
「家庭裁判所は」と書いてあります。
報酬を与えるかどうかは家庭裁判所が決めるのです。
「相当な報酬を」ですから、金額も家庭裁判所が決めるのです。
「被後見人の財産の中から」とありますね。
報酬はご本人の財産から受け取るのです。
「被後見人の資力」を考慮する、ということですから、ご本人の資力に不釣り合いな高額な報酬が決定されることはありません。
「後見人の資力」も考慮する、と読めますが・・・
「あなたはお金持ちなんだから報酬はいらないでしょ、ボランティアでやりなさい」なんてことにはなりません。
この点はたぶん考慮されていないと思います。
実際に報酬を受け取るためには、家庭裁判所に対して「報酬付与の申立て」をします。
すると家庭裁判所が報酬を与えるかどうか、与えるなら報酬をいくらにするのか、判断してくれます。
こちらからアクションを起こさなくてはならない、ということ。
親族後見人の方々の中には、これをご存じない方もいらっしゃるようです。
または、知っていても「親族として当然のことをやってるんだから、おカネをもらうなんて・・・」という方もいらっしゃいます。
でも、親族後見人も報酬付与の申立てをすればいいのに、と思うことも多いです。
複数いる子供のうちの一人が後見人になって親の財産管理をしている場合など、ご本人が亡くなってから遺産分割の場面で
「自分は後見人として頑張ったんだから多めに欲しいのだけど・・・」
みたいな発言をして揉めるよりは、後見人としての在任中にきちんと報酬を受け取る方がシンプル、単純明快なのでは、という気がします。
子供がいなくて、きょうだいや甥っ子、姪っ子のうちの一人が後見人を引き受けてくれたケースならなおさら。
報酬を受け取っていれば、相続の場面での不公平感が和らぐのでは、と思います。
とはいえ、何となく抵抗を感じるなあ、という方もいらっしゃるでしょう。
それだったら、もちろん、無理に報酬を受け取る必要はないのですけれど。
いずれにせよ、「親族であっても後見報酬を受け取ることが可能」ということは知っておいていただきたいな、と思います。
【2021年12月3日追記】
昨日書いたものに早速の追記です。
「親族後見人」の例として、子・きょうだい・甥っ子姪っ子などを挙げました。
そして「相続の場面での不公平の修正として」後見報酬を受け取るのもアリですよ、というお話でした。
でも「後見人を引き受けてくれた親族=いずれ相続人になる人」とは限りません。
典型的なのは「妻が夫の親の後見人になる、夫が妻の親の後見人になる」ケースです。
子の配偶者は相続人ではありませんから、「相続の場面で」という話にはなりません。
後見人としての活動をしても相続の取り分で考慮されるワケでもなく、まさに「タダ働き」になりがちです。
こんなケースでも「後見人としてきちんと報酬を受け取る」が効くと思います。
心理的に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
「嫁なんだからアタリマエだろう! オレは忙しいんだから!」みたいに。
でも、後見人としての活動は、そんなに簡単なものではないのです。
大変な責任が伴いますし。
煩雑な事務作業が山のように発生しますし。
こんなケースこそ、きちんと報酬を受け取って「責任あるお仕事」として取り組んでいただきたいなあ、と思うのです。
(実は、報酬額については「割に合わない!」となる可能性もあるのですが・・・。)
後見人を引き受けてくれた方から「報酬を受け取りたい」と言い出すのは、なかなか難しい面もあるかと思います。
周囲の方々からお勧めしていただくのが良いと思います。
せひ考えてみてください。
☆こちらの記事も読んでみてね☆
★成年後見制度の利用を完全に確実に回避する方法は・・・ない。