【成年後見】「監督人」は恐くない!

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

東京は雨ですねえ。

マーガレットのつぼみも濡れてます。

 

さて、今日の話題は後見制度における「監督人」です。

任意後見においては「監督人」は必須の存在です。

最初から監督人がつくことが予定されています。

任意後見人になる方はそれを理解しておられますから、監督人と後見人の間に緊張が走る、といったことは殆どなく、最初から協力関係です。

一方、法定後見の場合は違ってきます。

後見制度を利用すると監督人がつく場合がある、ということをご存じない方もおられます。

そんな方が後見人や保佐人になり、監督人がつけられると「えっ?」ということになります。

そして、監督人に対する警戒心やら嫌悪感から、対立関係が生まれてしまう・・・なんてこともあるようです。

監督人が選任される理由には様々あるのですが、やはり多いのは「財産額が大きい」ケースだと思います。

以前、「たかが○千万円持ってるだけで何故監督を受けるのか?」という言葉をいただいた(投げつけられた?)ことがありますが、家庭裁判所の感覚は至ってフツー、常識的です。

500万円ぐらいを超えれば、一人の人間に管理を任せるのはちょっと・・・ですし、預貯金額が1000万円を超えれば「すごくお金持ち」・・・というのが家庭裁判所の感覚のようです。

時々「監督人がつく、ということは自分は信用されていないのか? 何か疑われているのか?」と不快感をあらわにする方もいらっしゃいます。

でも、問題は後見人や保佐人の「資質」にあるのではありません。

一定額以上の他人のお金を管理するのに「単独」はマズいでしょ、という話なのです。

複数の目が入る必要があるのです。

この「他人のお金」という感覚、後見人等が甥や姪の場合は比較的理解していただけます。

でも、息子や娘が後見人や保佐人になっている場合には、なかなか・・・です。

「親のお金でしょ? 子供が管理するのは当然でしょ?」という感覚なのだと思います。

でも、それは違うのです。

親のおカネは親のもの。

子供のものではないのです。

「他人の財産」なのです。

ここさえ理解していただければ、単独での管理がマズい、ということが腑に落ちるハズなのですが。

さて、なんやかんやで監督人がつくことになったとして、一体この「監督人」、どんなヤツがなるんだ?・・・というと、それは私のようなヤツです。

私は後見業務の経験のある司法書士で、東京家庭裁判所の「監督人を引き受けることのできる司法書士」の名簿に名前が載ってます。

東京家庭裁判所の案件の場合、この名簿から選任されるのです。

で、私が監督人に就任すると何をするかというと、後見人や保佐人と定期的にお会いして、ご本人の生活や財産の管理状況について報告を受けます。

そして、後見人等が管理している通帳などの原本を確認します。

・・・これが刺激的なのでしょうねえ。

「不正がないかどうか確認するので通帳原本を持参せよ」という強烈な命令に感じられるようです。

でも、これは必須。

絶対に必要なのです。

だって、預かっているのは「他人の財産」なのですから。

複数の目が入る必要があるのですから。

時々「監督人がつかなくても、定期的に家庭裁判所へ報告書を提出するのだし、その際には通帳のコピーもつけるのだから」という言葉を耳にしますが、これでは足りないのです。

(詳しくは書けませんが・・・「通帳のコピー」は偽造できてしまいます・・・。)

さて、ここまで厳しいことを書いてきましたが、実際の「監督」は恐いものでも何でもありません。

殆どの方は後見人なんてものになるのは初めてですから、財産目録の作り方などは丁寧に指導します。

(あ、この「指導」という言葉もよくないのかな。)

「わからないことは何でも聞いてね」という感じなのです。

これ、ホンネです。

「わからないから質問したら、そんなこともわからないのか、という対応をされた」なんてことはありません!

「私もわからないから、調べてみるね」なんてこともあります。

一緒に進めて行きましょう、なのです。

実際の定期面談では、ご本人の財産のことよりも生活面の話の方が多いです。

介護のこと、施設入所のことなど、実は監督人の方がよく知っていたりします。

いろいろな事案を見てきていますから。

なので、アドバイスを差し上げることも出来ます。

一緒にご本人の様子を見に行くこともあります。

でん、と事務所に座ってるだけではなく、実働することもあるのです。

時には愚痴の聞き役になることも。

そうそう、後見人ご自身が高齢、なんていう場合には、事務所へお越しいただくのではなく、こちらから面談に出向くケースもあります。

・・・こんな感じなのです。

「監督人」は恐くないのです!

ぜひ頼りにしていただき、ご一緒に歩いていければ、と考えています。

 

 

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2020年1月26日 | カテゴリー : 成年後見 | 投稿者 : Kazuko Kataoka