こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真は東急大井町線の尾山台~等々力間で見つけた植物。
見慣れない植物があるなあ、と思ってよ~く見たら・・・
これ「ジュズダマ」だよね? と気がつきました。
そう、あの黒っぽくて堅い実ができる「数珠玉」です。
子供の頃、実を集めて首飾り作りましたっけ。
懐かしい思い出・・・もう50年も前のことです・・・。
さて。
今日は相続のお話です。
タイトルに「覚悟」なんていう強烈な言葉を使いましたが、決して大げさではないつもり。
思いがけない負担が降りかかってくる可能性がある、それが「未婚で子供のいないおじさん・おばさん」の相続なのです。
まずは、そもそもの大前提のお話。
「相続」は「財産の分け前をもらうこと」ではありません。
相続は「亡くなった方の権利・義務を引き継ぐこと」なのです。
プラスの財産もマイナスの財産も、どちらも引き継ぐ、ということ。
プラスの財産は銀行預金など。
マイナスの財産は借金など。
だからマイナスの財産の方が多い場合には相続放棄をすると良いのですよ・・・
・・・という説明を聞いたことのある方は多いでしょう。
問題は「一見プラスに見えて実はマイナス」という財産の存在。
典型的なのが「亡くなった方が所有していた田舎の不動産」。
管理に手間や費用がかかって重くのしかかり、手放したくても全然買い手がつかない、みたいな。
最近では「負動産」なんていう言い方をされることもあるようですね。
これが降りかかってくるケースが増えてきていると感じます。
で、なぜ「未婚で子供のいないおじ・おば」が問題なのかという話。
未婚で子供がいない方が亡くなると、その方の直系尊属(父母や祖父母)が相続人になります。
でも、高齢の方だと、直系尊属なんてとっくの昔に亡くなっていますよね。
その場合兄弟姉妹が相続人になります。
でも、高齢の方の場合、兄弟姉妹も先に亡くなっていたりします。
すると兄弟姉妹の子供、つまり甥や姪が相続人になるのですが・・・
この甥っ子や姪っ子が亡くなった方と疎遠だった場合、財産の内容の把握が難しいのです。
マイナスの方が大きい、と判断すれば相続放棄をすることになるのですが、相続放棄は「3か月以内」と決められています。
どう対処してよいかわからず専門家のところへ相談に行った時には既に3か月を過ぎていて・・・なんてことが起こりがち。
そうすると、価値のよくわからない田舎の土地と建物が自分のものになってしまい、管理の責任が降りかかってくる・・・という展開になります。
もちろん、そこそこの価値があってすぐに売れてお金が手に入り・・・となることもあり得るのですが。
もうひとつ恐いのが、「3か月以内でも相続放棄ができなくなる場合がある」ということ。
亡くなった方に銀行預金などがあって、この相続手続きをやってしまった場合。
この場合は相続放棄ができなくなります。
プラスの財産に手をつけた、ということは、マイナスの財産も引き継ぐつもりなんだよね、相続放棄はしない、ということで決定だね・・・
・・・となってしまうのです。
多少のおカネを手に入れたけれど、廃屋同然の家の取り壊しを迫られて、それ以上の費用がかかった、なんてことにもなりかねないのです。
こんな事態を避けるためにはどうすればよいのかというと、結局のところ、いろんなことを調べて熟慮して、最適な判断をするしかありません。
そして、それには時間がかかります。
疎遠にしていた人が亡くなってからでは間に合わないのです。
起きうる事態をあらかじめ想定しておく必要がある、ってことですね。
とはいっても、ご本人がご存命の間に財産調査、なんてことはできません。
相続の制度についての理解を深めておく。
ご本人が住んでいる田舎の家は、もしかしたら「負動産」かもしれない、という心づもりをしておく。
そしたら、ご本人が亡くなってからすぐに動き始めることができて、相続放棄なども間に合うかも、ということ。
さて。
今日のお話、実は「未婚で子供のいないおじさん・おばさん」の場合に限ったことではありません。
「問題の起こりがちな典型的な場合」として挙げてみたのですが、実は他のパターンの場合にも言えることなのです。
参考にしていただければ、と思います。
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