勝手に深読み・民法877条【扶養義務者】

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

寒くなりましたねえ。

でも、植物たちは元気です。

写真はマーガレット。つぼみが出来てます♪

 

さて、今日の話題は民法877条です。

といっても、本格的に法律の解説をしよう、なんてつもりはないのです。

思いついたことをエッセイ風に、ゆる~く書き綴ってみようかな、というスタンス。

気楽に読んでみてくださいませ。

とはいえ、条文は必要なので、ちょっと我慢してお付き合いくださいませ。

 

【民法第877条第1項】

直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

 

あ、我慢するほどのことはありませんでしたね。

実に単純なことが書いてあるだけでした。

でも・・・

「当たり前」だと思われましたか?

それとも「えっ? そうなの?」と思われましたか?

「扶養」の意味には、ここは深入りしないでおきましょう。

「扶養の義務を負うのは誰か?」に焦点を当ててみます。

「親は未成年の子を扶養する義務を負うか?」という質問に「NO」と答える方は少ないと思います。

(もしも驚きがあるとしたら「わざわざ法律に書いてあるのね」という点かもしれませんね。)

「親子」は「直系血族」の関係です。

「直系血族」というのは、「タテの血のつながり」だと考えておけばよいです。

親子とか、祖父母と孫とか。

直系血族は互いに扶養をする義務がある、と民法877条には書いてあります。

ということは

「親は成人した子を扶養する義務があるか?」

「子は親を扶養する義務があるか?」

どちらも答えは「YES」だということになります。

引きこもりの息子、失業した娘・・・親に扶養義務がある。

アルコール依存症の父親、年金だけでは生活できない母親・・・子に扶養義務がある。

実際には、様々な社会制度がありますから、それを使っていく場面が多いのだと思います。

失業保険、高齢者の医療費の負担軽減の制度、などなど。

民法877条を持ち出して「扶養せよ!」となることは多くはないと思います。

今のところは。

法律の条文は、使われることが少ないと、存在も忘れられがちです。

でも、何かしら必要が生じて「この条文が使えるぞ!」となると、注目されて急浮上するかもしれないのです。

国のおカネが足りなくなって、各種社会制度の維持が難しくなった。

何とか方策を、とあれこれ試みるも焼け石に水、もうどうしようもない、となった場合に、

「直系血族には互いに扶養の義務があるのだと民法に書いてある。この原点に立ち返ればよいのではないか?」

という議論へ流れて行く・・・そんなことがないとは言い切れません。

さて。

この条文に「えっ? そうなの?」と思われた方は、もしかしたら「兄弟姉妹」に反応されたのかもしれません。

「成人した兄弟姉妹が生活に困っていたら助けるべきか?」という質問への即答は難しいでしょう。

倫理的・道徳的にはYESかもしれないけれど、自分にも生活がある、それを考えたらNOと言うしかない・・・といったところでしょうか。

そんな方へ「実は民法には兄弟姉妹の扶養義務も定められているのです」と言ったら、仰天されるかもしれませんね。

倫理・道徳の問題だと思っていたものが、実は法律上の権利だったとは・・・ということで。

民法は、私人間の関係を規定する法律ですから、この条文を根拠にお国から「兄弟姉妹を扶養せよ」と命令されることはありません。

でも、少子化がどんどん進む現代、この条文の考え方が「再発見」されてしまうと怖いなあ、なんてことを考えてしまいます。

皆さんはいかがお考えでしょうか?

 

 

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