こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真はポトスです。
室内で育てている一鉢から一部分を切り取って水に浸けてあります。
数日で発根したのですが、もうちょっと根っこが伸びてから鉢植えにして外へ出そうと思ってます。
今日は相続のお話です。
きょうだいの配偶者(結婚相手)が相続に首をつっこんでくるとヤヤコシイ、というお話を以前にしました。 →兄弟姉妹の配偶者が相続に口を出す。
まさに「関係ない人は引っ込んでおいてくださいね。」です。
でも、関係ないはずが「関係者」になってしまう場合があるのです。
シンプルな事案で考えてみましょう。
あなたには高齢の父がいて、母は既に亡くなっています。
兄が一人いましたが、妻と一人息子を残して病気で亡くなってしまいました。
この状態であなたの父が亡くなると、相続人はあなたと兄の息子の2人です。
本来だったら兄が相続人となるはずでしたが、既に亡くなっているので、その息子が代わりに相続人になる、ということです。
これを「代襲相続」といいます。
遺言がなかった場合、父の遺産については、あなたと甥っ子とで話し合いをして分けることになります。
「兄の代わりに甥っ子が相続人になる」という状況に違和感を抱く人は少ないと思います。
では、同じ家族構成だったとして、こんな場合を考えてみてください。
父が亡くなって、あなたと兄とで遺産分割の話し合いを始めたタイミングで、兄が突然の交通事故で亡くなってしまった・・・。
あなたは一体誰を相手に遺産分割の話し合いをすればよいのでしょう?
「兄の一人息子である甥っ子でしょ。」と思われる方も多いでしょう・・・が、実はそうではありません。
「兄の妻」が当事者として登場してくるのです。
詳しくご説明しましょう。
この場合、短期間で複数の相続が起こったことになるのです。
父の相続と兄の相続の二つです。
兄の相続はシンプルです。
相続人は妻と息子の2人だけです。
では、決着のついていなかった父の相続はどうなるのでしょう?
決着がつかないまま当事者のひとりである兄が亡くなってしまったため、「決着がついていない状況」を兄の相続人が引き継ぐことになるのです。
つまり、父の遺産については「あなた・兄の妻・兄の息子」という3名で話し合わなければならないのです。
この状況には違和感を抱く方もいらっしゃると思います。
でも、仕方がありません。
法律どおりに進めていくしかないのです。
「でも、こんなことって、滅多にないことよね?」
と思われるかもしれませんが、案外そうでもないのです。
今日の事案は、わかりやすいように
「父が亡くなって時間をおかずに兄が亡くなってしまう」
という極端な設定にしましたが、
「相続の手続きが面倒で放置しているうちに年月が経過して、高齢になった兄も亡くなった」
という場合でも、同じようなことになってしまいます。
相続の問題での「先延ばし」や「放置」は、結局のところ面倒が倍増することが多いのです。
なるほど・・・と思っていただけましたら幸いです。
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