こんにちは。司法書士の片岡和子です。
暖かかったり寒さが戻ったり、服装選びに迷う日が多いですね。
でも、季節は着実に進んでいるようで、わが家のベランダガーデンはすっかり春らしい色になりました。
さて、今日は「貸したお金を返してくれない」というお悩みについて。
友人や知人、元交際相手などに貸したお金が戻ってこない。
なんだかんだと理由をつけて返さない、その言い訳も様々です。
「お金はもらった。借りたんじゃない。」なんてこともあります。
親しい間柄だと借用書がないことも多いですから、もらったのだか借りたのだか判然としない、ということになってしまいます。
訴訟をする場合には、「貸した」と主張する側は「貸した」と認めてもらえるだけの証拠を一生懸命集めなければならなくなります。
「お金は借りたけど『いつまでに返す』という約束はしていない。」という言い訳が出てくることもあります。
こんな場合には、返して欲しい側は「じゃあ、今『催告』するよ。今日から1週間以内に返してくれ。」と言えばよいのです。
(実際には「言った」「言わない」を避けるために内容証明郵便で催告書を送ることが多いのですが。)
「金返せって、一体いつの話だ? もうずいぶん前のことだろ? 時効だよ。」なんてことも。
これに対しては「○年○月に『もうちょっと待ってくれ、必ず返すから』と言っただろう。あれで時効は中断しているよ」といった反論が可能です。
こんな具合に、相手の言い訳の内容に応じた対応をしていくことになります。
困ってしまうのが、「お金がないから返せない」と開き直られてしまった場合。
しかも「お金がない」と言いながら立派な家に住んでいたり派手に遊び回っていたりすることも。
借金をしたこと、自分が返済の義務を負っていることは認めてしまっているのですから、それ以上議論のしようもありません。
こんな場合はさっさと「債務名義」(勝訴判決など)をゲットして強制執行の手続きをすることになります。
銀行預金でも給料でも不動産でも、差し押さえをして取り立ててしまえばよいのです。
本当に困ってしまうのが、本当に本当にお金がなくて「お金がなくて返せない」という場合。
この「言い訳」は最強です。
「お金がない」のは「言い訳」ではなく「事実」なのですから。
ないものは返せない、以上。
・・・ということになってしまうのです。
訴訟をして勝訴しても、差し押さえる財産がなければ勝訴判決も「絵に描いた餅」なのです。
そんなバカな・・・と思われるかもしれませんが、これが現実なのです。
そして、これは珍しい事ではないのです。
そもそも、なぜ友人知人や交際相手からお金を借りるのかというと、お金に困っているからです。
この「お金に困っている状態」から脱出することは容易ではありません。
あちこちから借金を重ねて、結局のところ行き詰まってしまうことも多いのです。
貸す側は、これを理解しておく必要があります。
「お金を貸す」ということは「返してもらえない可能性がある」ということなのです。
「貸す」という決断をした以上、このリスクは負わなければなりません。
そして、リスクが現実のものとなってしまった場合は、その現実を直視して受け入れるしかないのです。
最後はちょっと厳しい話になってしまいましたが、参考になりましたら幸いです。
☆こちらの記事も読んでみてね☆
★自己破産しても逃れられない債務がある。 ~非免責債権とは~