こんにちは。司法書士の片岡和子です。
クロッカスが次々と咲いてます。
次々と咲くけど、次々と終わってしまいます。
なので、この楽しみは一年のうちの一瞬です。
まさに今がその「一瞬」なのですねえ・・・。
さて、今日の話題は「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書は「遺産分割協議の結果を書面にしたもの」なのですが、これがイキナリ送られてくることがあるようです。
この協議書に署名しろ、実印を押せ、印鑑証明書もつけろ、と一方的に言ってくるのです。
合意した覚えはないし、そもそも協議なんてなかったのですから、送りつけられた側はビックリ。
こんな状況では誰でも身構えてしまいます。
そして戦闘モードへ突入!
こうやって長い長い戦いが始まったのでした・・・
・・・なんていう展開になりがちです。
でも、ちょっと一息おいて、冷静になってみてください。
送りつけてきた側の真意はともかく、「遺産分割を行わなければならない」という状況は目の前にあるのです。
ですから「遺産分割協議書が送られてきた」のは「遺産分割協議を行いましょうという申し入れ」だと考えてみてください。
送られてきた遺産分割協議書の内容は「先方からの提案」だと考えるのです。
すると、内容に不満がある場合には
「そちらさまの提案内容はわかりましたが残念ながらこのままでは合意はできません。つきましては私から新たなご提案を差し上げますので、よろしくご検討ください。」
という対応になりますよね。
もちろん、相手の態度に腹は立つでしょう。
でも「絶対にハンコは押さないぞ!」と、意固地になって引き延ばしたところで、先方は遺産分割調停の申立てをしてくるでしょうし、結局のところ何らかの形で決着はつけなければならないのです。
もしも先方が「この協議書の案以外は受け付けない」という態度を変えないのであれば、こちらから遺産分割調停を起こせばよいのです。
避けられないことに対しては、むしろ積極的に取り組む、というのがおススメです。
と、ここまでは「言いたいことは自分でしっかりと主張できる人」向けのアドバイスです。
ちょっと気の弱い方は、どうぞ慎重な対応をなさってください。
相続人間の力関係やら何やらで言いたいことが言えず、内容に納得できないままハンコを押してしまった、なんてことにならないように。
いったんハンコを押してしまうと、後から「やっぱり私は・・・」と言っても、まず通りません。
書面の力は絶大です。
「ハンコの押された遺産分割協議書があるってことは、きちんと合意ができてるってことだよね」と誰もが思います。
これをひっくり返すことは至難の業です。
ですから、くれぐれも慎重に。
自己主張の苦手な方は、専門家に助けてもらった方がいいです。
ここでいう「専門家」は弁護士さんです。
私のような司法書士では、遺産分割の案件で代理人となって交渉を行うことはできません。
ぜひ最初から弁護士さんに相談をして、必要な場合は代理人になってもらってください。
相続の争いは、大変に消耗するものです。
かなりの自信家で元気な人でも、あっという間に疲弊してしまいます。
そんなことになる前に、早い段階で弁護士さんにお願いすることをお勧めします。
☆こちらの記事も読んでみてね☆
★遺産分割協議・合意してたはずなのにハンコを押してくれない・・・。
★「兄弟姉妹には相続権がなくてもいいのでは?」と思うことも。
★まずは「相続税対策の問題」と「紛争回避の問題」を切り分けてみよう。