超入門③ 民事責任と刑事責任を区別しよう。

DSC04899

こんにちは。片岡和子です。

世田谷区等々力で司法書士をしています。

事務所の最寄駅は東急大井町線の尾山台または九品仏。

自由が丘や二子玉川からも便利なところです。

お気軽にご相談においでくださいね。

 

「超入門」の3回目は、こんな会話から見てみましょう。

 

ある日の学生食堂です。

学生A:あの遊園地の事故、今裁判中なんだってね。

学生B:ああ、ジェットコースターの整備不良で怪我人が出たやつね。

学生C:社長の会見、ひどかったよね。責任逃れみたいで。

学生A:絶対責任とって欲しいよね。無罪とかあり得ない!

学生C:賠償金は出るのかな?

学生B:そりゃ出るでしょ。賠償金ゼロだったら被害者はたまらないよね。

 

いかがでしょう。

どこかヘンだとは思いませんか?

そう、ヘンなのです。

この学生さんたち、法学部の学生じゃないのは明らかです。

「民事責任」と「刑事責任」の区別ができていないのです。

「責任取るべき!」という気持ちはわかりますが、民事責任と刑事責任の区別が理解できていないと、世の中に溢れているたくさんの出来事の正確な理解ができません。

刑事責任は「罪を犯した者は罰せられる」ということ。

この例では、整備不良で事故を起こしたことが刑法で決まっている「〇○罪」に当たるかどうか、という問題です。

民事責任は「損害を賠償しなければならない」ということ。

この例では、整備不良が原因で怪我をした人に入院費や慰謝料を支払う必要があるかどうか、という問題です。

刑事責任も民事責任も裁判所で審理され、どちらも「裁判」と呼ばれることが多いため、ごっちゃになってしまうようです。

刑事訴訟を起こすのは検察官です。(検察官は国の公務員です。)

訴えられた人は「被告人」と呼ばれます。

民事訴訟を起こすのは損害を被った人で、これが「原告」です。

訴えられた人は「被告」と呼ばれます。

この遊園地の事故で怪我をした人は、民事責任を問う裁判を起こすことはできますが、刑事責任を問う裁判を起こすことはできません。

「罪を問う」のは、国家の仕事なのです。

日頃、テレビやネットで流れているニュースを、何となく聞き流したり読み流したりしているかもしれませんが、ぜひ「これは民事責任の話なのか、刑事責任の話なのか」ということに注意してみてください。

ニュースの内容の理解が深まるはずです。

ワイドショーなどでは、コメントしているタレントさんなどが、そもそも民事責任と刑事責任の区別が出来ていないことも多いのでご注意。

 

ナルホド、と思っていただけましたら幸いです。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★超入門① 実はあまり理解されていない「実印」のこと

★超入門④ 内容証明について正確に理解しよう。

★超入門⑦ 土地と建物は別個の不動産です。

★超入門⑩ 法律上の相続放棄と事実上の相続放棄

★超入門⑬ 「動画で遺言」は有効?