こんにちは。片岡和子です。
世田谷区等々力で司法書士をやってます。
事務所の最寄駅は東急大井町線の尾山台または九品仏。
自由が丘や二子玉川からも便利なところです。
お気軽にご相談においでくださいね。
卒業シーズンですね。
みなさんの周りにも、引っ越しをされる方がいらっしゃるかも。
そこで少し、こんな場面を考えてみてください。
就職が決まって引っ越す先輩Aと、その後輩Bの会話です。
B:先輩、卒業おめでとうございます。
A:うん、いま引っ越し準備真っ最中なんだよ。
B:忙しいですね。
A:うん。そういえば君、自転車いらない? 引っ越し先は駅が近いから、要らなくなるんだ。
B:あ、ちょうど欲しくて、買おうと思ってたところです。安く売ってください!
A:そうか、3000円でどう?
B:買います!
A:よし、じゃあ明日取りに来い。
B:了解です!
次の日、BがAのアパートに行ってみると・・・
B:先輩、自転車受け取りに来ました!
A:あ、悪い・・・。あれはCに売ったんだ。5000円で買うって言うから。
B:えっ・・・。でも、約束・・・
A:あんなの、口約束じゃないか。きちんと契約したわけじゃないし。
B:でも・・・
A:契約書があるとか言うなら、話は別だけど。
B:・・・・・。
いかがでしょう。
Aの態度は腹が立つけど、そんなこともあるよね、と思われた方もいらっしゃるでしょう。
Bの感じているモヤモヤに共感する、という方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、その感情はちょっと脇へ置いて、「法的」にはどうなのか、を考えてみましょう。
実は、AとBの間には契約が成立しています。
Aの「売る」という意思と、Bの「買う」という意思が合致した時点で、売買契約が成立しています。
契約書を作ったかどうか、は関係ありません。
意思の合致で売買契約は成立するのです。
ですから、Aが自転車をCに売ってしまったのは、立派な「契約違反」です。
口約束でも契約は契約。
約束を破れば契約違反なのです。
では、このAB間の問題において「契約書を作らなかった」ということは、どういう意味を持つのでしょうか。
「契約書を作成しなかった = 契約はなかった」
ではないことは、ご理解いただけていると思います。
実は、「契約書を作成しなかった」ということの問題は、
「この契約が存在するかどうか、A・B以外の人間からはわからない」
という点にあるのです。
もしも、猛烈に腹を立てたBが訴訟を起こして
「Aは契約違反をしたんです!」
と主張したとしても、裁判官の目から見ると、
「そもそも契約があったかどうかわからないし・・・」
ということになるのです。
つまり「立証できない」という状態になるのです。
いかがでしょうか。
ナルホド、と思っていただけましたら幸いです。
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