こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真は冬越ししたペチュニア。
新芽がたくさん出てきて元気いっぱい。
夏のベランダの主役となってくれること間違いなし、です。
さて、今日は久しぶりに成年後見のお話です。
成年後見制度は誰のために作られた制度でしょう・・・って、判断能力が低下したご本人のために決まってますよね。
ご本人の代わりに後見人が施設入所契約などをしたり、利用料を支払ったりすることで、ご本人の暮らしを守ることになるのですよね。
もちろん、契約の相手方も守られます。
家庭裁判所から正式に権限を与えられた成年後見人が責任を持って契約や支払いを行ってくれるのですから。
でも、制度がいったん出来ると、当初は想定されていなかった使い方をされることが起きてくるものです。
たとえば・・・
高齢の親が病気で倒れた。
長男が真っ先にかけつけて「心配なので通帳預かるから」と言って管理を始めてしまいます。
実効支配ですね。
先を越された二男はあれこれ調べた末に「成年後見」にたどり着きます。
「これだ!」ということで成年後見の申立て。
自分が後見人になれば兄を排除して財産管理権は自分のもの、というワケです。
この時点で、病気の親が「自分はまだボケてない!」という騒ぎになることも。
成年後見の制度は「判断能力の低下した人」のためのもので、単に「病気で動けない人」は対象になりません。
ここを勘違いしている方も結構いらっしゃるのです。
でも、病気がきっかけで判断能力が低下することもあって、その場合にはやはり成年後見制度の利用につながっていくことになります。
申立書の内容や、親族への照会の回答から、兄弟間に争いがあることは家庭裁判所にはわかります。
そんな場合には第三者の専門職が後見人に選任される、という展開となります。
せっかく財産管理を始めていた長男は、しぶしぶ通帳などを後見人に引き渡すことになります。
一方の二男は、自分が後見人にはなれなかったものの、兄の排除には成功したワケで、まずまずの結果です。
・・・これって、つまりは相続争いの前哨戦ですよね。
書いていて悲しくなってしまいます。
でも、これに類することって、あるのですよ。
もともと成年後見制度は相続争いの道具などではないのですけど、実際にそういう使い方ができてしまう以上、防ぐことはできないのが現状です。
ただ、こういう状況で選任された専門職後見人は、中立な立場を守りながら、ご本人のために動くことになりますから、結局のところ「ご本人のための制度」が実現する結果となります。
いかがでしょう?
なるほどねえ、と思っていただけましたら幸いです。
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★成年後見制度の利用を完全に確実に回避する方法は・・・ない。