こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真はガーデンシクラメン。
一昨年購入して昨年の酷暑を越したものを大切に育ててきました。
開花期が市販のものとはズレるようで、今がピークです。
(というか、たぶんこれが自然なのだろうけど。)
お見事! でしょ♪
さて、今日の話題は遺産分割。
相続・遺言ジャンルの記事は久しぶりです。
相続法の改正がいろいろとあって、書きたいことはたくさんあったのです。
でも、現場での運用がハッキリしないうちは、なかなか書けなくて。
そろそろ書けるかな~、ということで、今日は「民法907条1項」です。
まずは条文を。
頑張っておつきあいください。それほど難しくないです!
【民法第907条1項】 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
要するに、遺言に「分割しちゃダメ」と書かれていた場合以外は、みなさんで話し合って遺産を分割していいですよ、ってことです。
次に、改正前の民法907条を読んでみてください。
【改正前民法第907条1項】 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
???どこが違うんでしょ???
おわかりになりましたか?
「遺産の分割」が「遺産の全部又は一部の分割」になったのです。
「遺産の一部の分割」が認められた、ってこと。
ということは、これまでは禁止されていたのか、というと、そういうワケではありません。
遺産分割は、全ての遺産についてスッキリと一回で決着をつけるのが望ましい。
でも、どうしてもそうは出来ない場合もあります。
遺産の一部である不動産が訴訟の対象になっていて分割どころではない、でもお金だけでも分けなければ生活に困る・・・
そんな場合には、これまでも「一部の分割」は行われて来ました。
でも、それが法律的にOKなのかどうかはハッキリしていなかったのです。
今回の法改正で「OKである」とハッキリ示された、ということなのです。
ですから、大いに活用するとよいのです。
ただ、注意点もあります。
一部分割の話し合いがまとまると、遺産分割協議書を作成することになります。
その協議書には「今回の遺産分割は一部分割である」ということがわかるように記載をしておく必要があるのです。
後日、誰かが「残りの分の話し合いをしよう」と言った時に、他の誰かが「え、全部終わったでしょ?」なんてことを言い出したら大変ですので。
それから、「今回の分割の内容が、残りの部分の分割に影響を与えるのかどうか」を明確にしておく必要があります。
今回多めにもらった人がいる場合、次回の協議ではその人の分は少なめにするのか。
今回は今回で終わりにして、次回はまた次回で法定相続分で分けるのか。
そういったことを決めておく必要があるのです。
・・・いかがでしょう?
参考になりましたら幸いです。
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★遺産分割協議・合意してたはずなのにハンコを押してくれない・・・。