こんにちは。司法書士の片岡和子です。
写真はロベリアです。
8月上旬に大胆な切り戻しを決行したのですが、1か月足らずでここまで成長しました。
ちなみに、切り戻し直後の写真が↓です。
素晴らしい成長ぶりです。植物はスゴイ!
さて、今日は成年後見のお話です。
成年被後見人が亡くなると、後見は終了します。
被後見人が亡くなった瞬間、成年後見人の権限は消滅します。
亡くなった方の子供が後見人であった場合などには、後見人がそのまま相続人となりますから、預かっていた通帳などは、そのまま管理を続けて、相続の手続きに入ることになります。
司法書士などの第三者が後見人であった場合には、管理していた通帳等を相続人に引き渡すことになります。
相続人が一人だけであることが明らかな場合は簡単です。
その相続人に管理財産を引き渡せば終了です。
相続人が判明していない場合は調査を行い、判明した相続人と連絡を取り、引き渡しを行うことになります。
相続人が複数いる場合には、代表者に引き渡します。
「誰が代表者なのか」は慎重に確認します。
相続人全員が「通帳等は長男の〇○に渡してくださいね。」と言っていた場合でも、「長男〇○に引き渡すことに同意します。」という趣旨の書面に署名押印をいただくこともあります。
問題なのは代表者が決まっていない場合。
この場合、安易に相続人のうちの一人に引き渡しを行うことはできません。
代表者が決まるまで待つことになります。
「代表者が決まりそうにない」という場合はもっと問題です。
代表者が決まらない、というのは、相続に関して紛争がある、もしくは紛争に発展しそうな状況である、ということですから、相続人のうちの一人に管理財産をお渡しすることなど、できるワケがありません。
でも、後見は終了しているのですから、元後見人がいつまでも財産を預かり続ける、というのも問題アリですよね。
そんな場合は、家庭裁判所にお願いをして「相続財産管理人」というのを決めてもらうこともあります。
権限のある、正式な「管理人」に管理を委ねるのです。
後見人だった者がそのまま相続財産管理人になることもありますし、別の弁護士等が選任されることもあります。
この場合の相続財産管理人の任務は、必要がある間、財産の管理を続けることです。
相続人間の紛争に介入することではありません。
この状況を相続人の側から見るとどうなるか、というと
「なぜ引き渡しを受けられないんですか? 私は長男ですよ! 相続人ですよ! とにかく渡してくれれば、こっちでちゃんとやりますから。なんで家庭裁判所にあれこれ指図されなくちゃならないんですか!」
ということになるのでしょう。
別の相続人から見ると
「兄は何もしなかったんです。私が父の介護を最後まで一人でやったんです。兄には遺産の取り分はないはずです。このことは後見人さんにきちんと説明したのに、通帳を渡してくれません。ひどいと思いませんか?」
ということになったりします。
でも、家庭裁判所や元後見人に苦情を言っても意味はありません。
きちんと法的な手続きを踏んでいるのですから。
相続人の方々が取るべき対応は、「外部に対してモンクを言うのではなく、自分たちの問題は自分たちで解決すること」です。
相続財産管理人は「それまでの間、中立な立場で財産を管理しておいてくれる人」なのです。
ナルホド、と思っていただけましたら幸いです。
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