普通建物賃貸借の更新拒絶には正当事由が必要

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

東急大井町線の尾山台と九品仏の中間地点あたりで開業してます。

 

引っ越しシーズンですねえ。

入学、卒業、就職、転勤・・・

人生の様々なシーンに「引っ越し」はつきもの。

引っ越しといえば、「賃貸物件」ですよね。

入学やら転勤では、住むところを探さなくちゃなりません。

そして、いいところが見つかったら契約、なのですが・・・。

契約書をきちんと見ている人はあまりいないのが実情でしょう。

それでも、その契約に「契約期間」があることはほとんどの方が認識していると思います。

普通の賃貸マンション等なら、「2年」というのが多いでしょう。

契約期間 平成27年4月1日~平成29年3月31日

などと記載されていると思います。

で、この契約期間が満了したらどうなるの?

契約は自動的に終わるの?

でも、「更新」ってあるよね?

更新を希望すれば住み続けられるんだよね?

このあたりの詳しいことについては、実はよくわかっていない方が多いだろうと思います。

難しい理屈はさておき、通常、借りている側が

「住み続けたい」

と考えれば、借りている側が特にアクションを起こさなくても、追い出されるようなことはありません。

実際には、管理会社に言われるままに更新の手続きをしていることが多いと思いますが、こちらから更新の手続きを取らなかったからといって、住み続けられなくなることはないのです。

問題は、大家さん側から

「更新しない」

と言われた場合。

大家さんが「更新しない」というなら出て行かなくちゃいけないのかな、と思いがちですが、実は、言われるがままに出て行かなければならない場合など、滅多にありません。殆どないのです。

まずは、この結論からしっかり覚えてください。

大家さん側から「更新しない」という申し入れをするには「正当事由」が必要です。

そして、その「正当事由」とは、とても厳しいものなのです。

大家さんから

「次回の契約期間の満了の際には更新をしませんので。」

という通知が来るときには、いろいろな理由がつけられます。

「息子を住ませることにしました」とか

「老朽化して危険なので建て替えます」とか。

これらは一見、「正当事由」に思えます。

でも、この場面での法律上の「正当事由」というのは、正当事由という言葉から一般的に受ける印象に比べると、はるかに厳しいものなのです。

そう簡単には認められないのが、法律上の「正当事由」なのです。

そこで、この「正当事由」の厳しい条件をクリア出来ない場合に、大家さん側から申し出られるのが、いわゆる「立退料」です。

「認められそうにない正当事由」と「立退料」を合わせて、「認められる正当事由」にまでもっていこう、というわけです。

この「立退料」の性質については、誤解している方が多いように思います。

 

これについては、また機会があったらお話したいと思います。

 

 

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