ポジショントークよりも実は怖いものとは。

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

元・言語学専攻の私は和製英語が大好物。

でも、この「ポジショントーク」という和製英語については、単純に「おもしろ~い」とは言えない気分です。

使われる場面に「非難のニュアンス」を感じることが多いからだと思います。

以前に「パワハラ」という言葉を取り上げたときにも書いた記憶があるのですが、新しい言葉が作られる以前から「現象」は存在していたのですよね。

「自分の立場に有利になるような発言」なんて、昔からどこにでもありました。

「ポジショントークではない発言」を探すのが難しいぐらい。

私の仕事でよく遭遇するのは、何といっても遺産分割の場面です。

例えば・・・

お墓を継ぐ者と継がない者、それぞれの発言。

継ぐ者は「墓を維持するのには費用がかかる。その分遺産を多くもらわなければ困る。」と言います。

継がない者は「自分で墓を購入しなければならない。その分遺産を多くもらわなければ困る」と言います。

どちらも正しいような、正しくないような。

どちらも間違っているような、間違っていないような。

(民法上は祭祀承継と遺産分割は別物なので、どちらの発言も意味をなさない、というのが法律上の正解です。受け入れていただけるかどうかは別として。)

ところで。

ネット上でも新聞等のメディアでも、成年後見制度に対する批判がなされることが多々あります。

後見人の報酬が高すぎるとか、後見人は何もしてくれないとか、支出が制限されて大変なことになる、とか。

日々後見人として活動している私としては、反論したいことも多いです、正直なところ。

でも、あまり反論はしないです。

「おまえこそポジショントークだ!」と言われるのがイヤなので。

「反論」という形ではなく、いろいろと書くことはあります。

それも「後見業務がなくなったら自分が食えなくなる、その立場からのポジショントークだろう」という評価を受ける可能性はあるのですが。

ま、それはそれでもよいです。

でも、実はいちばん怖いのは「ポジショントークさえもなされない」ケースだと思います。

私の場合・・・民事信託や家族信託と言われるものについては書きません。

以前に一回だけ取り上げたことがあるのですが、それっきりです。

いろいろと考えることはあるのですが。

この分野、たくさんの同業や他士業の方々が携わっている、もしくは参入を考えておられるようです。

そんな方々から「オマエの発言は業務妨害だ!」と非難されるかもしれない、と考えてしまうのです。

業界の方々に嫌われたくないですから。

考えてみれば、この態度、究極の「ポジショントーク」かも。

いや、正しくは「トーク控え」ですよね。

・・・何だかちょっと感じ悪い書き方になっちゃったかな。

今日はこのへんで。

 

 

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2020年2月26日 | カテゴリー : 日々雑感 | 投稿者 : Kazuko Kataoka