こんにちは。司法書士の片岡和子です。
今日のタイトルはちょっと刺激的かも。
「生かさず殺さず」なんて、ねえ。。。
何のお話かというと、「介護保険施設における負担限度額」のお話なのです。
見直しが行われて、今月から新たな基準がスタートしました。
私が成年後見人になっている方の中にも思いっきり引っかかる方がおられてまして。
試算してみたら、年額で25万円以上の負担増になるのです。
びっくり。
あ、そもそものお話からいきましょう。
特別養護老人ホームなどの介護保険施設は、介護保険を利用して入所やショートステイができるようになっています。
でも、費用の全てが介護保険で賄われるワケではありません。
介護保険が使われるのは「介護」の部分。
居住費や食費は「ホテルコスト」と呼ばれ、対象外です。
当たり前といえばアタリマエですよね。
家賃や食費は介護の要否に関係なく必要な費用ですものね。
とはいえ、所得の低い方は負担ができない場合もあるため、収入に応じた「負担限度額」の制度が設けられているのです。
で、今回その負担限度額の見直しが行われた、ということなのです。
もちろん、「もうこれ以上の負担は無理」という方の負担を増やすことはできません。
「微妙に余裕が生じていた層」がターゲットとなったのです。
これまで「第3段階」だったのが「第3段階①」と「第3段階②」に分かれました。
そして、「これまで少しだけ余裕があった方」は「第3段階②」となり、食費の負担が増えることになったのです。
成年後見人である私から見ると、これに該当する方は、これまで「毎年少しずつ預金残高が増えている」という状態でした。
今後はどうなるかというと、「預金残高は増えずに均衡状態になる」のだと思います。
「年金収入の殆どが入所施設の利用費に消えて、残りの金額から衣服や日用品をまかなう」というイメージです。
それで何の問題が? と思われる方もいらっしゃると思います。
暮らしていける、ってことでしょ? と。
そもそも特別養護老人ホームに入所できるなんてラッキーなことなんだから!
いくら待っても順番が回ってこない人たちのことを考えてみなさいよ!
・・・確かにそのとおりです。
でも・・・病気になったら・・・
医療費は医療費で負担軽減の制度があるんだから、何とかなるはずでしょ?
でも・・・通院に介護タクシーが必要になることも・・・
本当にその通院必要なの? 施設に出入りの医者が対応できる範囲で医療を受けてればいいんじゃないの?
実は無職の息子の生活費をこれまで少し負担していて・・・
働け、ってハッキリ言いなさいよ!
たまには孫にお小遣いを・・・
そんなのゼイタク! 何考えてるのよ!
・・・何だか身も蓋もない想定問答集になってしまいました。
つまり、とてもうまく設定されている、ってことなのです。
生きていける、でも余計なことはできない、という感じです。
私は今回の見直しの内容を見ていて、思わず「生かさず殺さず」という言葉が頭に浮かんでしまったのでした・・・。
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