こんにちは。司法書士の片岡和子です。
7月上旬に剪定して植え替えたアジサイ、こんなに葉が茂ってます。
酷暑にも負けず、健康そのもの。
来年の花が楽しみです♪
さて、今日は成年後見のお話。
成年後見人に就任すると、ご本人の財産調査を行います。
銀行などで手続きをしていると、「ウチで扱った生命保険がありますよ」といった情報が得られることがあります。
金融機関が保険の代理店をやっているのですねえ。
窓口販売、窓販とも言うそうです。
で、教えてもらった情報を頼りに、改めて保険会社に連絡をして、詳しい契約内容を調査するのですが・・・
これがトンチンカンなやりとりになることも多くて、苦労するのです。
こういう場合の窓口は、大抵がコールセンター的なところです。
保険会社によって、いろいろとオシャレな名称がつけられていたりしますが。
成年後見制度についての知識のある担当者に(偶然に・幸運にも)繋がればよいのですが、そうとは限りません。
「詳しい手続きについては、お調べしてから折り返しご連絡を差し上げます」となることが多いです。
それが、今回はラッキーで、すんなり話が通じたのです。
「まずは登記事項証明書をお送りいただいて、それを確認後、契約内容を記載した書面をお送りします」とのことで。
・・・と思ったら、1時間後ぐらいに電話がかかって来て「委任状が必要です」だと。
絶句、です。
念のため「あのう・・・委任状というのは、誰の・・・でしょうか・・・?」と確認。
そしたら、何を言ってるんだコイツは、という感じで「ご契約者様の委任状です。」と言い切られてしまいました。
ここで解説です。
成年後見制度というのは、判断能力の低下した方のための制度です。
いろいろな類型がありますが、「後見」の類型は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」を対象にしています(民法第7条)。
言葉は難しいですが、要するに最も「重い」類型です。
簡単に言ってしまうと、「ご自身で契約を行うことは無理」という状況の方々を対象にしているのです。
ですから、成年後見制度を利用していて、類型が「後見」である方、そのご本人が「委任状を書く」なんてことは考えられないのです。
(ご自身の名前が書けたとしても、内容を理解していなければ、「委任状を書いた」ことにはなりません。)
「被後見人の委任状」が存在するとしたら、まず偽造を疑わなければならない、そういうものなのです。
もちろん、これは私が成年後見の仕事をしている司法書士だから知っていることで、保険会社のコールセンターの人(およびその上司)が理解していなかったとしても、それは仕方のないことなのかもしれません。
でも・・・やっぱり残念です。
この制度はまだまだ知られていない、理解されていないのだなあ、と改めて思い知らされた出来事でした。
あ、今回の手続きについては、説明をして改めて調べてもらったところ、「やっぱり委任状は不要です」ということで決着しました。
ふうぅ。。。疲れましたぁ。。。
☆こちらの記事も読んでみてね☆
★成年後見制度の利用を完全に確実に回避する方法は・・・ない。