「配偶者居住権」って売れるのかなあ・・・

こんにちは。司法書士の片岡和子です。

12月も半ば。

はやいものですねえ。

事務所玄関の手拭い飾りもクリスマス仕様です。

 

今日は相続のお話。

「配偶者居住権」という言葉、耳にしたことがありますか?

民法の中に新しく作られることになった制度なんです。

関心を持っている人は多いようで、先日も、ある相談会で相談員をしている時に質問を受けました。

考え方や輪郭はざっくりとご説明しましたが、

「細かいことは我々にもまだわからないことが多いんですよ。」

と言い添えました。

詳細はまだこれから、という状況なのです。

この制度の目的は、

「相続において配偶者を手厚く守る」

ということ。

特に、

「家に住み続けられること」

に焦点を当てたものなのです。

シンプルな例で考えてみましょう。

 

Aさんが亡くなった。

遺産は自宅の土地・建物と少額の預貯金。

相続人は妻Bと別居の子Cの2人。

Cは、

「遺産の半分は自分のもの。家を売って代金を半分に分けよう。」

と言います。

Bは

「私はできればこの家に住み続けたいんだけど」

と言いますが、Cは

「それだったら、オレの取り分をカネで払ってくれ」

と譲らない。

Bにはそんなお金はなく、仕方なく自宅を売ることに。

 

・・・こんなことが往々にして起こります。

そこで「所有権」とは別に「配偶者居住権」というものを作って、

「所有権は息子に、居住権は妻に」

といった形での遺産分けを可能にしよう、ということなのです。

配偶者居住権の価値の計算方法は一体どうなるのか? といったことには、ここでは踏み込みませんが、「完全な所有権」よりは価値が少なくなるのだ、ということは、ご理解いただけるでしょう。

仮に息子Cが取得する「所有権」が1000万円、妻Bが取得する「配偶者居住権」が1000万円だとしたら、BとCは遺産を半分ずつ分けたことになります。

つまり、家は売らずに済み、BはCにお金を払わずに住み続けることができる、ということになるのです。

いいじゃない! 素晴らしい! と思われましたでしょうか。

確かに、よい制度だと思います。

でも、気を付けなくちゃいけないこともあります。

「住み慣れた家で最後まで暮らしたい!」は誰でも同じ。

でも、それが叶わない、という展開もあり得ます。

「あり得ます」というよりは、「とても多いのです」と言うべきでしょう。

私は成年後見の仕事の中で、

「自宅での生活ができなくなり老人ホームへ」

という展開をたくさん見てきました。

その際、

「自宅を売って、入所資金にあてる」

というパターンも多いのです。

住み慣れた家を離れるのは辛いでしょうけど、

「夫や妻が遺してくれた家がおカネに形を変えてそのおかげで、よい老人ホームへ入れた」

ということなのです。

では、相続の時に「配偶者居住権」を選択した場合には同様のことは可能なのでしょうか?

言い方を変えれば「配偶者居住権」って売れるの? という問題です。

どうなんでしょうか。

「今のところ、わからない。」

というのが正直なところです。

もしも「配偶者居住権は売ることができる」というならば、買うのは「所有権を取得した息子C」ということになるのでしょうか。

(全く関係ない他人が居住権を買い取って入り込む、という状況は想定しにくいですから・・・。)

もし「売れる」のだとしても、息子Cが「買わない」もしくは「買えない」と言えばそれまで、ということになるのかなあ。

う~ん、難しい問題です。

こんな難しい問題が起こるのだったら、妻Bは、夫Aが亡くなった時に家を売って、代金をCと半分に分けて、そのお金で小さい住居へ住み替えた方がよかったのかも・・・ ということも言えそうです。

こんな具合で、難しい問題も起きそうな「配偶者居住権」ですが、配偶者にとって「救い」になるケースも多いだろうと思います。

これから徐々に詳細がわかってくるでしょう。

情報を収集しつつ、動向を見守りたいと思います。

 

 

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2018年12月15日 | カテゴリー : 相続・遺言 | 投稿者 : Kazuko Kataoka