「争族対策」と「節税」の迷路 ~相続対策のお話~

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

ベランダではサフィニアが次々と咲いてます。

伸びすぎた部分を切り取って、部屋の中に持ち込んで飾ってるのだけど、今日は見事に紅白の取り合わせになってしまいました。

特におめでたいことがあるワケではありません・・・。

相変わらずの淡々とした毎日です。

 

さて、今日は相続のお話。

相続が起こってからの対応のお話ではなくて、将来起こる相続に備える場面でのお話です。

特定の財産を相続人のうちの一人にぜひとも残したい、ということ、ありますよね。

長年同居して家業を手伝ってくれた娘に店舗兼住居を引き継がせたい、でも、他の兄弟たちから文句が出るかも。

何とか争いは避けたい。

「争族」になるのはイヤ。

一生懸命考えた母は娘に切り出します。

母:お父さんが亡くなってから、お店締めようと思ったこともあったけど、Aちゃんのおかげで、ここまでやってこれた。

本当にありがとね。

娘:いきなりどうしたの?

母:いきなりじゃないよ。

ずっと考えてたの。このお店と家の名義を、今のうちにAちゃんの名義に変えておきたいの。

できれば私が死んでもお店続けて欲しいのよ。

娘:生前贈与、ってやつ?

そんなことしなくても、ちゃんと私が継ぐよ。

実際、私もこのお店に自分のお金つぎ込んでるんだし。

弟たちも文句は言わないと思うよ。

母:でも、お嫁さんたちが何か言うかもしれないし。

この店と家を売って、お金を分けようとか・・・。

娘:じゃあ、遺言を書いておくとか。

母:それも考えたんだけど、何だか確実じゃないような気がして・・・。

生きてるうちにAちゃんに引き継いで、安心したいのよ。

娘:う~ん。贈与かあ。

贈与税がすごく高くなるはずだけど・・・。

母:「相続時精算課税」っていうのがあるんだって。

それを使えばいいと思うんだけど・・・。

娘:わかった、調べてみるね。

娘は国税庁のホームページで調べてみます。

ざっくりと言うと

「相続時精算課税を選択して届け出ると、2500万円までの贈与には贈与税がかからなくて、それを超えた分については、とりあえず贈与税を払う。

後日、相続が起きた時に相続税を計算して精算する。既に支払った贈与税が戻ってくる場合もある。」

ということらしい。

娘は「いいかも」と思います。

そして、ネットでいろいろと検索してみると・・・

「相続時精算課税のデメリット」というのがたくさん出てきました。

いったん相続時精算課税を選択したら元には戻せない。

暦年課税が利用できなくなる。

不動産の名義変更に必要な「登録免許税」が、「相続」なら0.4%だけど、「贈与」だと2%になる。

不動産の贈与を受けると不動産取得税がかかる。

相続税の計算の際に「小規模宅地等の特例」の適用が受けられない。

などなど。

そして、あちこちに

「安易にこの制度を利用すると損することがあります。慎重に」

と書いてあります。

娘は驚いてしまって、母に伝えます。

娘:お母さん、相続時精算課税って、よくないみたい。

税金で損するらしい。

やめた方がよさそう。

母:そうなの・・・。

損するってどれくらいかしら。

少しくらいの損だったら、いいんじゃないかと思うんだけど・・・。

娘:ダメよ。

よけいな税金払いたくない。

節税は大事よ。

母:そうかしら・・・。

この母娘は迷路に入り込んでしまったようですね。

よくある話なのです。

「争族」を回避しようとして考え始めたことが、いつの間にか「節税」の話にすり替わってしまうのですね。

「1円たりとも損はしたくない」と考えるのは人間の常。

誰でもそうでしょう。

でも、「そもそもの目的」や「優先順位」を見失ってしまっては、結局のところ「争族」になってしまうかもしれないのです。

節税についての情報は世の中に溢れていますけど、本末転倒にならないような利用をする必要がありそうですね。

 

 

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2018年6月23日 | カテゴリー : 相続・遺言 | 投稿者 : Kazuko Kataoka