「パワハラで訴える!」が難しい理由③

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

秋も深まってきましたねえ。

事務所玄関の手拭い飾りも深い色合いのものにしてみました。

 

前回の記事の最後に

「次回に続きます。」

と書いたのだけど、あれから1か月以上が経ってしまいました。

いろんな案件でいろんな展開があって、じっくりと考えなくてはならないことも多くて、なかなか「書く」ことができなかったのです。

さて、前回どんなことを書いていたかというと・・・

「パワハラを受けたので損害賠償を請求したい」

という場合、

「パワハラを受けたんです」

と、ただ叫んでもダメで、民法709条に該当する事実を具体的に挙げる必要があること、

精神的に弱っている人にとっては証拠集めが大変難しいこと、

そんなことを書いていたのでした。

詳しく読んでみたい、という方は↓をどうぞ。

「パワハラで訴える!」が難しい理由①

「パワハラで訴える!」が難しい理由②

 

さて、今日は少し別の観点から考えてみましょう。

パワハラ被害を受けて、

「訴えてやる!」

という気持ちになって、

民事訴訟を起こして、

大変に難しい主張や立証をクリアして、

幸いにも勝訴できたとして、

得られるものは何か?

という点です。

難しいお話は省略して、結論に行きましょう。

(難しいお話を読んでみたい方はこちらへどうぞ→民法722条1項・金銭賠償の原則)

答えは「お金」です。

パワハラが原因で精神的な苦痛を受け、民事訴訟で訴えたい!

という場合、損害をお金で賠償してもらう以上のことはできないのが原則です。

謝罪してほしい、

反省してほしい、

態度を改めてほしい、

という切実な願いが満たされることは殆どありません。

もちろん、慰謝料が取れればそれでいいんだ、という考え方も可能です。

でも、一体、慰謝料って、どれぐらい取れるんでしょう。

5万円でしょうか。

30万円でしょうか。

100万円でしょうか。

実は私も、全くイメージができません。

予測が難しいのです。

パワハラを受けて辛い思いをして、

必死で訴訟を起こして勝訴して、

慰謝料5万円を受け取ったとして、

その結果に満足して受け入れることができるでしょうか。

「あなたの精神的苦痛の値段は5万円です。」

ということですから。

では、100万円もらえれば納得できるのかというと、そう単純なものでもないだろう、という気がします。

さらに難しい問題があります。

弁護士費用の問題です。

予測の難しいことに対して、どれだけの費用をかけるか、という問題です。

これが「貸した100万円を返せ!」という話ならば、

「自分で訴訟を起こすのは大変だから弁護士に頼もう、もしも100万円を取り戻せたとしたら、弁護士報酬として30万円支払っても手元には70万円残るのだから、何も行動を起こさないよりはマシ。」

といった計算をすることが可能です。

でもパワハラの場合、

「泣き寝入りはイヤだから訴えたい・・・

でも自分じゃムリ・・・

弁護士さんに頼むと30万円かかるらしい・・・

慰謝料っていくらぐらい取れるんだろう・・・

弁護士さんもはっきりと見通しを言ってくれないし・・・

もしも10万円しか取れなかったら・・・

結局何もしない方がマシだった、ということになるのかな・・・」

ということになってしまいます。

あ、ここで弁護士費用を「30万円」としたのは、それが一般的だ、というワケではありません。あくまでも例として挙げてみたものです。

ただ、

「パワハラを受けたので慰謝料を請求したい」

という場合、案件そのものが難しいことが多いですから、たとえ敗訴して1円も取れなかったとしても、弁護士さんの仕事量に対しては

「30万円ぐらいは支払う必要があるだろうなあ。」

というのが、私の正直な感覚です。

さて、ここまで3回に分けて、パワハラで民事訴訟を起こすことの難しさをお話してきましたが、ちょっと大胆にまとめてしまいましょう。

「パワハラ案件と民事訴訟は相性がよくない。」

ということです。

ネット時代で情報が得やすくなったからでしょうか。

困難に直面した場合の対応方法として、「訴訟」を考える方が増えているように思います。

ネットの世界に踊っている

「パワハラを受けたら泣き寝入りせずに訴訟を!」

という言葉は魅力的です。

でも、本当に訴訟で問題は解決するのか、じっくりと考えてみていただきたい、と思います。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★「パワハラで訴える!」が難しい理由①

★「パワハラで訴える!」が難しい理由②

民法722条1項・金銭賠償の原則

★「そもそも」を考えてみよう④ 「弁護士費用が高すぎる!」

★「そもそも」を考えてみよう⑦ 「証拠がないと泣き寝入りですか?」

民法709条を分解してみる①

言葉も老化する ~パワハラという言葉で考えてみる~

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2017年11月8日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka