「パワハラで訴える!」が難しい理由②

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

写真はゼラニウムです。

夏の間、元気がなかったのだけど、涼しくなったらめきめきと復活。

どんどん花が咲き始めました。

色も鮮やか。

人間と同じで、夏バテだったんだなあ・・・。

 

さて、今日は

「パワハラで訴える!」が難しい理由①

の続きです。

「パワハラ」は「概念」であって「事実」ではない。でも、この「概念」と「事実」はごちゃまぜになってしまいがち。これがパワハラ案件が難しくなってしまう理由の一つである、

というお話でした。

「パワハラ」は昔からある言葉ではありません。

2001年に作られた言葉のようです。

職場での嫌がらせやイジメは、それ以前からありました。

「パワハラ」にあたる状況は、それまでにも存在していたのです。

それが、「パワハラ」という言葉を与えられたことによって、最初は徐々に、後には一気に理解が進んできたのです。

職場での問題にはいろいろな態様がありますが、よくよく観察してみると、いろんな類型があることに気がつきます。

それらのうち、職場に存在する何らかのパワーを背景にしたものに注目し、これをひとまとめにして「パワハラ」と定義してみた。

そしたら「なるほど」、「そうだよね」と納得する人が増えて、「パワハラ」という言葉が浸透し、定着する。

こうなると、嫌がらせやイジメの個々の具体的な状況を並べ立てるよりも、

「パワハラを受けたんです!」

と表現する方が伝わりやすくなります。

「パワハラ」という言葉が生まれたことで、

「これまで自分が苦しい思いをして来たものの正体は、これだったんだな。」

という理解が生まれます。

この理解から出発することで、苦しい状況への対応の第一歩を踏み出すことができる。

「パワハラ」という「言葉」の力です。

ところが、民事訴訟の世界では話は別、です。

「パワハラ」はあくまでも「概念」です。

民事訴訟の場では、声高に「概念」を叫んでもダメです。

「事実」を示さなくてはなりません。

どんな状況で、どんなことを言われたか、具体的に示さなければならないのです。

異動後の新しい職場で、ろくに仕事を教えてもらえない状況で、

「なんでこんなことがわかんないの? 使えねーな。給料泥棒だよな。」

と、課長から罵られた、とか。

さらに難しい問題があります。

こんなことを言われた、と主張しても、相手が

「そんなことは言っていない」

と否定したら、裁判官は「???」となってしまいます。

どちらの言っていることが本当か、わからないのです。

そこで「証拠」が必要になるのですが・・・

パワハラの「証拠」って?

ふつう、文書として証拠になるものが残っていたりはしませんよね。

なので、実際の音声の録音とか、ということになるのでしょうが・・・

考えてみてください。

パワハラを受けてうつ病になってしまった人が弁護士さんに相談に行って

「証拠が必要です。今度パワハラ発言があったら録音しておいてください」

と助言されたとしましょう。

弁護士さんの立場からすればアタリマエの助言かもしれませんが、

「うつ病の人に対して、自ら証拠集めをするよう指示する」

というのは、とんでもないことです。

主治医の医師が聞いたら激怒するかもしれません。

うつ病まではいかなくても、パワハラを受けた人は、心が弱ってしまっているのが普通です。

その弱った状態で

「自分がパワハラを受けている最中の音声を録音する」

なんてこと、そう簡単にできるでしょうか。

そう、パワハラ案件は「証拠集め」が大変難しいのです。

技術的に難しい、といったことではなく、本質的に難しい、ということなのです。

 

次回に続きます。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★「パワハラで訴える!」が難しい理由①

★「パワハラで訴える!」が難しい理由③

★「そもそも」を考えてみよう⑦ 「証拠がないと泣き寝入りですか?」

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2017年10月7日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka