「パワハラで訴える!」が難しい理由①

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

写真は事務所玄関の手拭い飾りです。

秋らしくっていいでしょ♪

 

さて、今日の記事のタイトルは

「『パワハラで訴える!』が難しい理由」

ですけど、理由の全てについて網羅的に解説するものではありません。

ある局面を切り取ってみて、その局面について説明してみよう、という試みです。

それは

「パワハラを受け、慰謝料を払ってもらいたいので弁護士に相談に行った」

という場面です。

相談者は「パワハラを受けた」ことは自明の事実であると思っていて、そこを出発点として、

「慰謝料を払わせるにはどうしたらいいのか」

を知りたいと考えます。

相談を受けた弁護士は

「民法709条に該当する事実があるかどうか」

を確認しようとします。

そこで、弁護士からの質問は

「いつ・どこで・だれが・どんなことをしたのか」

に集中します。

しかも「具体的に」と迫ります。

相談者は不安になってしまいます。

「本当にパワハラを受けたのか、疑われているんだろうか?」

という気分になります。

弁護士は

「で、証拠になるものはありますか」

と追い打ちをかけてきます。

気の弱い相談者だと、このあたりで心が折れてしまうかもしれませんね。

でも、弁護士の態度は間違っていないのです。

相談者の望んでいることは

「パワハラを受けたので慰謝料を払って欲しい」

ですが、これを「法的」に言うと

「不当に権利を侵害されて損害が生じたので賠償して欲しい」

ということになります。

根拠になる法律は民法709条です。

ちょっと頑張って条文にお付き合いください。

 

第709条(不法行為による損害賠償)

故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

いざ裁判、となった場合、弁護士は、この709条に該当する「事実」を示さなければなりません。

「パワハラを受けた」と主張してもダメなのです。

「パワハラ」は「概念」であって、「事実」ではありません。

「概念」である「パワハラ」をいくら叫んでも、

「権利が不当に侵害された」と認定されることはありません。

ですから、事実と証拠を一生懸命集めようとする弁護士の態度は決して間違っていないのです。むしろ「当然」なのです。

ところが、相談者が認めてもらいたいのは「パワハラ」です。

パワハラを受けた。

自分は傷ついた。

これに対して何かしら償われるべきである。

そう思っている相談者にとって、「パワハラ」という言葉に深入りしようとしない弁護士の態度は、

「わかってくれない」

「パワハラに理解がない」

というふうに感じられるだろうと思います。

ここのところのズレが問題なのですね。

気の弱い相談者は、

「弁護士さんには理解してもらえないのだな・・・」

と考えてしまい解決をあきらめてしまう、つまり「泣き寝入り」になってしまうかもしれません。

気の強い相談者だと

「あの弁護士はきちんと話を聞こうとしない。ひどいヤツだ!」

となってしまい、ネット上に書き込みをするかもしれません。

「クレーマー」になってしまう可能性もありますよね。

根っこにあるのは案外単純なことで、

「『概念』と『事実』がごちゃまぜになってしまっていること」

なのだと思います。

「パワハラを受けた、訴えたい!」

と考えておられる方は、まず、この「ズレ」・「ごちゃまぜ」について理解をすることが大切です。

その上で、民法709条についての理解が不可欠です。

民法709条については、別の記事で解説をしています。

興味のある方は、まず↓を読んでみてください。

民法709条を分解してみる①

①~⑥の6記事に分けて書いてありますので、

ぜひ頑張って全部読んでみていただければ、と思います。

 

 

☆こちらの記事も読んでみてね☆

★「パワハラで訴える!」が難しい理由②

★「パワハラで訴える!」が難しい理由③

民法709条を分解してみる①

民法709条を分解してみる②

民法709条を分解してみる③

民法709条を分解してみる④

民法709条を分解してみる⑤

民法709条を分解してみる⑥

民法722条・金銭賠償の原則

★「そもそも」を考えてみよう④ 「弁護士費用が高すぎる!」

言葉も「老化」する ~パワハラという言葉で考えてみる~

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2017年9月27日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka