「そもそも」を考えてみよう⑦ 「証拠がないと泣き寝入りですか?」

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こんにちは。司法書士の片岡和子です。

わが家のポーチュラカは、ひととおり花が咲き終わったあと、すごい勢いで分枝して大きくなって、鉢からあふれて、こぼれ落ちそうになってます。

新しい花芽もついているので、再びたくさんの花が咲きそうです。

楽しみ~♪

 

今日は、こんな場面を考えてみてください。

 

ある相談会にて。

相談者:知人にお金を貸したんですが返さないので訴えたいんです。

司法書士:金銭消費貸借契約書はお持ちですか?

相談者:キンセンショ・・ショウ・・?

司法書士:えっと、要するに借用書です。

相談者:いや、借用書は書いてもらってないです。信用してたんで・・・。

司法書士:そうですか・・・。いくら貸しました?

相談者:10万円です。少額訴訟というのがあるとか。

司法書士:ありますよ。

相談者:一日で簡単に決着がつくそうですね。やり方を教えて下さい。

司法書士:何か資料はありますか?

相談者:資料?

司法書士:えっと、つまり、証拠になりそうなものです。

相談者:証拠がないとダメなんですか? 借りたものは返すべきでしょう?

司法書士:メールのやり取りとか・・・。

相談者:「金返せ」というメールはしましたよ。

司法書士:反応は?

相談者:無視されました。だから訴えるんです!

司法書士:う~ん。難しいかも・・・

相談者:借りたカネ返さなくてもいいってことですか? おかしいでしょ!

司法書士:いや、貸したことが立証できないことには・・・

相談者:証拠がないと泣き寝入りなんですか? おかしいでしょ!!

司法書士:いくら「貸した」と言っても「借りてない」と言われてしまえば・・・

相談者:それじゃ借りたもん勝ちですか? 何のための法律ですか!!!

司法書士:いや、つまり・・・

相談者:もういいです。他に相談に行きますから!!!

 

いかがでしょう。

こんな相談があると、我々司法書士は困ってしまいます。

相談に来られる方にしてみれば、「借りたお金は返すべき」という正義は当然法律によって実現できるはず、と信じていて、そのための具体的な方法を教えてもらおう、というつもりなのに、なぜか難しい顔で「う~ん」なんて言われてしまうのですから、それは納得できない気分でしょう。

確かに「民法」という法律には「借りたお金は返さなければならない」という趣旨の規定が存在します。

でも、お金を借りた側が返さず、貸した側が「訴える!」となった場合、訴訟は「民事訴訟法」の規定に従って行われます。

訴えた側は、「お金を貸した」という事実を、裁判所に対して自力で示さなければなりません。

それが出来てはじめて裁判所は「借りたお金を返せ」という判決をしてくれるのです。

それが「民事訴訟法」の仕組みなのです。

「お金を貸したかどうか」が不明な状態では、裁判所は判断をすることができません。

その場合どうするかというと、「不明なこと=なかったこと」と考えます。

すると「お金を貸した事実はないのだから返せとも言えない」という結論を出すしかありません。

この相談者の言う「借りたお金は返すべき!」というのは「民法」の世界のお話です。

司法書士の「う~ん、立証できないことには・・・」という反応は「民事訴訟法」の世界のお話なのです。

「そもそも」の理解にズレがあるのですね。

このあたりの事情を説明するのは難しいです。

うまく伝わらずに

「もういい!!」

と言われてしまうことも多いです。

なので、こうやってブログで書いてるワケなのですが、少しだけでも伝わりましたでしょうか・・・

 

 

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2017年7月25日 | カテゴリー : 訴訟・裁判 | 投稿者 : Kazuko Kataoka